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  • ハッピーメール【18禁】

夢か恋愛か~寝とられた女優~ その1

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裕介は落ち着きなく何度も時計を見ていた。
じっとしていられず、待ち合わせの時計台の前を動物園の熊のように行ったり来たり。
待ち合わせの時間はとうに過ぎていた。
メールを送っても返事がこない。
裕介は待たされているいら立ちよりも、
待ち合わせに一度も遅れたことがない、几帳面なさゆりの事が心配だった。
それから二十分後、
漸く待ち合わせ場所に来たさゆりの様子がいつもと違うことに、裕介は直ぐに気付いた。
さゆりは裕介を遠目に見つけると、駆け寄ってきて、
一度大きく息を吐き出し息を整えると、遅れたことを裕介にごめんねと謝り
今さっき起ったばかりの出来事を興奮で上ずった声で話し出した。
「ほんとに?」
「ほんとだよ。これみて」
そう言うと、さゆりは一枚の名刺を得意げに裕介の目の前に差し出した。
裕介は然も疑わし気に名刺を見る。
名刺には芸能事務所の名前と、事務所の代表らしき人の名前が書かれていた。
しかし名刺に書かれた芸能事務所の名を裕介は知らない。
もちろん一般人の裕介は芸能界に詳しくはないから、
この事務所が芸能界では有名だと言われても否定は出来ないが。

「これ、どういう事務所なの。さゆりがスカウトなんかされるかなぁ」
疑いの顔でそう口では言いながらも、
裕介はさゆりの抜きん出た可愛さを十分自覚していたし、
だからこそ、常に些細なことで嫉妬したり心配したりしている毎日だった。
「私だって、最初は疑ってたんだよ、うさん臭いなぁって
でも、ちゃんと話し聞いたら、そんなことないし」
「さゆりって、芸能界っていうか、そういうのに興味あったの」
裕介は感情を自制出来ず、少し苛立って言った。
「もちろん自分には無関係の世界だと思ってたよ。
・・・でも、憧れがない・・・わけじゃないから」
「・・・そう言う人って、口が上手いんだって」
裕介は苛立ち、半笑いで言い放った。
「私なんかがスカウトされるわけないって言いたいの」
さゆりの顔が急に険しくなる。
「いやっ、そう言うことじゃなくてさ」
「・・・もういい」
そう言うと、さゆりは裕介から名刺を取り上げると、裕介を無視して先に歩き出した。
「ちょっと、待って。・・・さゆり」
裕介はその後を慌てて追った。

「じゃあね」
さゆりは淋しそうな顔で俯きながら言った。
二人はさゆりのアパートの前に帰ってきていた。
今日一日のぎこちない微妙な距離感の中に二人ともまだとらわれていた。
「うん」
裕介はどういう顔をしていいかわからず、
笑顔を作ろうとしたら苦笑いになってしまう。
重苦しい空気。
「さっきは、ごめん」
裕介は面と向かって謝るのが恥ずかしくて、俯き謝った。
さゆりが何も言わないので、顔を伺い見ると、
さゆりの顔はみるみるうちに崩れ裕介に抱き着いた。
「ううん、私もごめん」
裕介もさゆりの身体に手を廻し強く抱き締め返す。
それに呼応するようにさゆりもまた裕介を抱き締め返す。
二人は暫くお互いの気持を確かめるように抱き締めあうと、熱いキスをした。
二人で障害を勝手に作り出し、それを乗り越え盛り上がる。
そんな何処にでもいるカップル、それが裕介とさゆりだった。

裕介は部屋に戻ると直ぐにさゆりにメールを打った。
『さゆりが興味あるんだったら。その事務所に連絡してみたら』
裕介はメールを送信した後、そのメールを見返し少し後悔していた。
いい彼氏を振る舞ってるだけなんじゃないかと。
人生で初めて出来た彼女、それがさゆりだった。
オク手だった裕介は誰かに告白することなど出来るはずもなく、ずっと彼女も出来ず、
同じ境遇をすごした高校時代の同級生達と卒業した後も休みごとに遊んでいた。
しかしそのような関係も、新しい環境になったこともあり、サークルだ、コンパだと、
日が立つごとに一人また一人と彼女が出来ていった。
その内、遊ぶ時に彼等は彼女を紹介半分、自慢半分で連れてくるようになり、
いつのまにか彼女がいないのは裕介だけになっていた。
そんな様子を見ていた友達の誰かが軽い気持で発した
「裕介に彼女作ってあげようぜ」
という一言に、皆直ぐに乗り気になった。
それは最初はゲームのようで、その内みんなの使命のようになっていた。

友達の彼女達はプリクラ帳を開き
「この子はどう、この子は、その子は裕介君にはきつすぎるよ」
などと、論議が沸き起こる中、裕介は他人事のように1冊のプリクラ帳を見ていた。
その時、裕介はプリクラ帳の一人の女の子に釘付けになった。
すると、その様子をすぐに嗅ぎ付けた女の子が
「さゆり?」
裕介の視線の先を探るように言った。
「うん。さゆりだったら、裕介君とお似合いかも」
「そうだね。さゆりがいいよ」
「だよね、裕介君は真面目だし、さゆりを安心して預けられるよ」
女の子達は勝手に納得しあっている様子だった。
それからは裕介の事などお構いなしに、
女の子達は恋のキューピットごっこにはまり込み、
数日後には晴れて裕介とさゆりは御対面となった。

はじめて裕介の前にあらわれたさゆりに裕介の顔は真っ赤になった。
さゆりも恥ずかしいのか頬を染めていた。
無理矢理に隣に座らさせられた裕介とさゆりは、
何を話していいかわからず暫く押し黙っていたが、
裕介は意を決してさゆりに話し掛けると、
さゆりはホッとしたのか笑顔になった。
その時の笑顔の可愛さを裕介は忘れない。
さゆりへの思いが確かになった瞬間。
それからはメールのやり取りをしたり、
さゆりは有名私大に通っていていて試験だなんだと、裕介とは違い忙しかったが、
時間がある日には友達をそれとなく誘い、グループデートを何回か重ね、
さゆりが想像以上に可愛いのもあって、同級生には途中やっかみを入れられながらも、
皆に担ぎ上げられるように付き合うことになった。
そして、今日が付き合い始めて半年の記念日だった。

『ありがとう。少し考えてみる』
さゆりからの返信メールを裕介はみて、これでよかったんだと思った。
さゆりは確かに可愛いけど、
芸能人になれるはずなんてないだろうと裕介はどこかで高をくくっていた。
しかし、そんな裕介の楽観的な予想は間違っていたことになる。
月日はたち、さゆりは新進アイドルとなっていた。

さゆりがアイドル、その事実は裕介を困惑させた。
そして、それ以上に最近さゆりが芸能活動に真剣に取り組み始めたことに戸惑っていた。
最初の頃は芸能界に戸惑いがあったさゆりだったが、
事務所の人に何度か舞台などに連れて行ってもらううちに、
真剣に女優になりたいと思い出し、
たびたび裕介に対してもはっきりとそう口にするようになっていた。
それからは、一度も休まずに通っていた大学も休みがちになり
変わりに時間を惜しんで芝居や発声のレッスンに励む毎日になっていた。
それが今ではアイドルになっている。
当初は確かにさゆりは女優を目指して懸命に芝居の稽古をしていたのだが、
芝居の仕事はほとんどといっていい程になかった。
すると事務所の社長は、アイドルからでも女優になれるし、
そのほうが夢が近いんだよとさゆりに話した。
最初は固辞していたさゆりも、事務所の熱意と、自らの女優への憧れから納得すると、
それからは、さゆりの可愛さと事務所の並々ならぬ努力もあってか、
さゆりの仕事は徐々に増えてきていた。
最近では有名雑誌のグラビアを飾るようにもなってきていた。

裕介はグラビアの中で、
さゆりが自らの柔肌を惜し気もなくさらしているのが堪えられなかった。
さゆりの肌を辛うじて隠しているだけの小さな水着、
小さな水着から溢れ出した豊かな胸、
お尻の形がハッキリとわかるバックショット、
そして、股間からの卑猥なアングル。
さゆりの水着姿が男達の目に晒されている。
そう考えるだけで堪え難い焦燥感が沸き上がり、
それを吐き出せない無力感が、裕介を覆いつくしていた。
友達には裕介お前いいのかよ、などと心配されていたが、
そう忠告する友達も少しにやけた顔で、
彼等の瞳にはさゆりの卑猥な姿が映っているように裕介は感じられた。
知っている女の子の卑猥な姿なのだから興奮しても当然なんだろうが、
さゆりの身体が他人に見られているという事実が
裕介には現実のものとして叩き付けられ、堪え難い苦しみを起こす。
それでも辛うじて堪えられたのは、毎日交わすさゆりとの電話、メール、
そして、そこで言ってくれるさゆりの裕介への思いが唯一の支えだった。

しかし、裕介には最近新たに大きな悩みの種が産まれていた。
それは、事務所がさゆりとの交際を暗に控えてほしいと裕介に言ってきたことだった。
別れてくれとまでは言わないが、人目につくところで二人であってはいけないなど
事細かに、さゆりの女性マネージャーに注意されていた。
さゆりは気にしなくてもいいと言っていたが、
それでも裕介はやはり気にせずにはいられなかった。
裕介はさゆりが本気で女優になりたいと思っていることに気付いていたし、
なによりも、ごたごたを起こし、それが切っ掛けでさゆりと別れたくなかった。
そこには芸能人であるさゆりと付き合っているんだという優越感もあった。
裕介は暫くしてから友達にさゆりとは別れたんだと言った。
友達はほんとかよと一様に驚き慰めてくれた。
「アイドルの彼氏なんて大変だからよかったんだって。他の子紹介してやるよ」
そう友達は裕介の肩を叩いてくれたが、実際には別れていない裕介は、
「まじで、さゆりちゃんいい身体してるよな」
「ほんと、俺毎日さゆりちゃんでオナニーしてるよ」
などと、さすがに裕介に遠慮をしているのか、目の前では言わないが、
それでも聞こえてくる彼等の会話の中に出てくる、
それは若さゆえに溢れる性欲からの、
さゆりに対する卑猥な一言一言が裕介の胸に突き刺さった。

数カ月後の日曜日、裕介はさゆりの部屋に来ていた。
「ひさしぶりに、ゆっくり二人で過ごせるね」
「・・・うん」
裕介は照れて俯く。
さゆりと裕介が二人きりで会うのは三週間ぶりだった。
裕介はほんとうは嬉しくて飛び上がりたい気分だが、それを表に出せずにいた。
さゆりはそんな裕介に気を使うように申し訳無さそうに話す。
「ごめんね。最近、仕事急がしくって」
「いいって、気にしてないよ」
「うん」
「・・・」
「あっ、ゆうちゃん。私こんど、映画のオーディション受けるの」
さゆりは嬉しそうに笑顔で言った。
裕介はさゆりが見せた笑顔が、グラビアのさゆりの笑顔と重なり胸が苦しくなる。
「・・・そうなんだ」
裕介は素っ気無く答えてしまう。
「・・・うん」
「あっ、よかったじゃん、さゆりは女優になりたいんだもんな」
裕介はさゆりの辛そうな顔を見て、慌てて言った。
「・・・うん。ありがと」
「・・・」
「あっ、そうだ、ゆうちゃん、おいしいケーキあるから食べよ」
そう言うとさゆりは、部屋を出てダイニングに行った。

裕介がさゆりの部屋にくるのはひさしぶりだった。
可愛らしい装飾、甘くていい匂いがする女の子らしい部屋。
裕介は手持ち無沙汰になって、立ち上がり、部屋を見回した。
綺麗に整頓された部屋、机には数冊の雑誌が置いてある。
手に取ると、どの雑誌にもさゆりが載っていた。
男性雑誌に載ったさゆりは、際どい水着を付け、
艶かしい表情でこちらを見つめている。
身体のラインが見て取れ、遠目には裸のさゆりを簡単に想起させる。
「・・・ゆうちゃん」
さゆりがケーキを手に目の前に立っていた。
「見ないで、・・・恥ずかしいから」
さゆりは恥ずかしそうにしている。
「嫌じゃないの。こんな格好して」
裕介はたまらず本音を漏らしてしまう。
さゆりは困ったような、そして、少し怒ったような顔をした。
「嫌にきまってるじゃない。恥ずかしいし、でも仕事だから」
裕介はいつもさゆりの口から仕事という言葉が出ると言葉を返すことができなくなる。
そして、嫌われたくなくて、いつも決まった事をいう。
「そうだよね。ごめん」
さゆりはケーキを机に置くと、裕介の側に来て手を握った。
「私、ゆうちゃんの事大好きだよ」
「・・・おれも」
二人はキスをした。
お互いの気持を確かめたくて、その気持が永遠であるように。
そして、二人はそのまま、抱き合った。
ひさしぶりに身体をあわせることが二人の気持をよりいっそう熱くさせた。
「ゆうちゃん。もうすぐ、私グラビアの仕事も卒業だから」
「うん」
「嫌な思いさせちゃってごめんね」
「そんなことないよ。俺こそごめん。さゆりがんばれよ」
「うん。ありがと、ゆうちゃん」
やっぱり裕介は本音が言えなかった。

オーディション会場。
「じゃあ。25番の市川さゆりさん」
「はい」
さゆりは緊張の面持ちで立ち上がる。
何度も事務所でマネージャー相手に練習を繰り返した自己紹介をすらすらとこなす。
強面のおじさん達が真剣な表情で、吟味するように資料とさゆりを見比べる。
中心にどかんと座っているのが世界的な映画祭の賞を獲得している大磯監督だ。
大磯はオーディションが退屈なのか大きな欠伸をした。
それから助監督らしい人との軽い質疑応答があり、
意外にあっさりとオーディションは終わった。
まっ、一次だからなと、さゆりは前向きに考え事務所に帰った

「どうだった」
事務所のドアを開けると、
まってましたとばかりに、マネージャーの陽子がさゆりに聞いてくる。
「うーん、わかんないです」
「もう、しっかりしてよ」
「そうだよ、さゆりはこの事務所の期待の星なんだから」
二人の会話に社長の郡山が割って入ってくる。
渋みのきいた顔の郡山、その容姿はいかにも人が良さそうに映る。
社長の郡山とマネージャーの陽子は夫婦で、年齢は一回り以上離れている。
というのも、陽子はもともとこの事務所所属の初めての女優だった。
当時、大手の芸能事務所に勤めていた郡山が、偶然街で陽子をスカウトした。
郡山は陽子が芸能界で成功すると始めて街で見た時から確信していた。
しかし、事務所は陽子の将来性というものを考えていなかった。
郡山は忸怩たる思いだった。
そして、ついに郡山は陽子の為に当時大手の芸能事務所をやめ独立した。
しかし、結局陽子はその後大手芸能事務所の圧力もあり大成することはなかった。
それからも二人はめげず、自分達の夢を次の子達に託そうと誓いあった。
そこで出会ったのが、さゆりだった。
郡山も、陽子も、さゆりの無限の可能性を一目見て感じていた。
鷹揚で優しい郡山、そして、芸能界の辛さをよく理解した陽子、
弱小事務所ながら事務所は家族のような雰囲気だった。
「はい。がんばります」
「がんばってよ。この事務所はさゆりちゃんのこの小さな肩にかかってるんだから」
そう言うと、郡山はさゆりの肩を揉み肩をポンと叩いた。

裕介は携帯を耳に充て、心配げに聞いた。
「どうだった」
「二次通ったよ」
「まじで、おめでとう」
「ありがと。でもまだ二次だけどね」
裕介は本当に嬉しかった。
これで、うまく行けば、グラビアの仕事はしなくてすむ。
仕事とは言え、さゆりのあんな姿は見たくないし見られたくない。
決定的だったのは、昨日の深夜のテレビ番組、
さゆりは際どい水着を付け、お笑い芸人と戯れていた。
もちろんそれが仕事であることは理解できたが、
さゆりが動くたびに、水着から隠すべき部分が見えてしまうのじゃないかとハラハラし、
さゆりの身体にさり気なく触る芸人の姿に、言い様のない嫉妬を感じた。
だからこそ、事態の解決にはこのオーディションが唯一の答えの気がしていた
「がんばれよ」
「うん」
「あっ、ゆうちゃん待ってて、キャッチ入った」
「わかった」
「・・・」
「ごめんね、今から事務所に行かなくちゃいけない」
「いいよいいよ」
「ごめんね、また後で電話するね」
「ああ」
「じゃあね。ばいばい」
「ばいばい」

急に呼び出しってなんだろう。
さゆりが息を切らせて事務所に入ると、
マネージャーの陽子と社長の郡山が神妙な顔をして椅子に座っていた。
「どうしたんですか」
「さゆり、こっちに座って」
「はい」
さゆりはいつもと違う二人の様子にオーディションが駄目だったんだと感じた。
「オーディション駄目だったんですか」
「・・・いや。違うんだ」
郡山は手を大きく振って言った。
そして、息を一つ吐くと郡山はさゆりの目を見つめ喋り出した。
「さゆりは女優になりたいんだよね」
「はい」
さゆりは力強く頷く。
「うん、うちの事務所としてもさゆりちゃんを主役をはれるような女優にしてあげたい」
「はい」
「・・・」
郡山は黙り込む。
「なにか、あったんですか」
押し黙った郡山を引き継ぎ陽子が話し始めた。

「実は今から大磯監督がさゆりに会いたいって」
「ほんとですか、嬉しい」
さゆりは目を輝かせた。
「違うのよ。ホテルで会いたいって」
「えっ」
さゆりは最初その言葉の意味が分からなかった。
「ホテルで二人きりで会いたいって、電話で言ってきたの」
「そんな」
「それで、準主役を用意してるって」
「そんなの嫌です」
さゆりは毅然と言った。
すると、押し黙っていた郡山がさゆりをまっすぐに見つめ言った。
「もちろん、さゆりが嫌なことはわかってるし、俺だってそんなことさせたくない。
そもそも、今回のオーディションは出来レースだったんだ」
郡山は続けて、大手事務所の名前を吐き捨てるように言った。
「・・・」
さゆりは事実を知りショックを受けていた。
「でもな・・・」
郡山は意を決したように話始めた。

「これはチャンスなんじゃないかと思うんだ」
さゆりは郡山の言葉に驚き、慌ててその心中を計るため郡山の顔を見た。
「誤解だけはしないでくれ、こんなことは本当にあってはならない事だ。
しかし、芸能界には昔からこういう慣習があるんだ。
今テレビに出ている、小さな事務所の女優たちも多かれ少なかれそれを乗り越えてきている」
「・・・でも」
さゆりは郡山の言葉に戸惑う。
「さゆりが本気で女優を目指すなら、こんなチャンスはないだろう。
女優デビューがあの大磯監督の映画の準主役なんてことは」
さゆりは陽子をすがるように見る。
「私は・・・反対」
陽子は俯きながら言った。
「やっぱり、そんなこと・・・さゆりにさせられない」
「しかし、さゆりが女優になることは、私たちみんなの夢じゃないか」
そう言う郡山の瞳には涙が浮かんでいた。
「・・・私、行っても・・・いいです」
さゆりの言葉に陽子は驚き見た。
さゆりには郡山と陽子がこれまで自分の為にどれほど尽くしてくれたか知っていた。
雑誌の編集長やテレビ番組のプロデューサーに
頭を何度も垂れる二人の姿を何度も見てきた。
この芸能界で小さな事務所が生きていくことが、一つの仕事を得ることが
どんなに大変かさゆりはもう十分に身に滲みて分かっていた。
私自信がもう自分一人のために頑張ってるんじゃないということも。
女優は私一人の夢じゃない、もう私たちみんなの夢だ。
「・・・さゆり」
郡山も陽子も涙を流していた。
「さゆり・・・今から行くのは、市川さゆりじゃない。女優市川さゆりが行くんだ」
郡山は涙声で言った。
陽子は堪えきれずさゆりに抱き着いた。
さゆりも陽子の思いを体中で感じた。
そして、さゆりの脳裏に裕介の優しい笑顔が浮かんだ。

郡山は携帯を手に持ち、さゆりを見遣る。
そして、さゆりの意志が変わらないことを表情で見て取ると、
メモに書かれた番号に電話をかけた。
郡山は電話の相手と二言三言交わし、メモ用紙にボールペンで走り書きをした。
電話を切ると、さゆりの方に歩み寄ってきた。
「○×ホテルで待っているそうだ」
「はい」
さゆりはしっかりとした目で答えた。
「・・・じゃあ・・・行くか・・・」
「・・・はい」
さゆりは心を決め立ち上がった。
しかし、陽子は座ったまま立ち上がらない。
「どうした?」
郡山は戸惑い声をかける。
「ごめん。私はここで待ってる」
陽子は流れそうな涙を必死で堪えている。
「わかった。いくぞさゆり」
さゆりは頷くと、俯く陽子の手をぎゅっと握りしめ、
郡山の後に続いた。

目の前に立派なホテルが見えてきた。
車は吸い込まれるようにホテルの入り口に入る。
ボーイがスムーズな動作で車のドアを開けた。
郡山もボーイに運転を任し車を降りようとしたが、さゆりがそれを制した。
「ここで大丈夫です」
郡山はさゆりの気丈な態度に、わかったと頷くと、車を発進させた。
さゆりはボーイに案内されホテル内に入った。
ボーイに待ち合わせだと告げ、
手に持ったメモ用紙で部屋番号を確かめ、エレベーターに乗る。
部屋のある階でエレベーターは止まり、さゆりは降りた。
廊下に並ぶ部屋の群を見て、これから自分の身に起こる事が現実的な感覚になる。
さゆりは携帯を鞄から出した。
そして、アドレスの一番最初にある、最愛の彼氏、裕介にメールを送った。
「ごめんね」
さゆりには、その四文字しか、打てなかった。
ごめんねゆうちゃん。裕介の事を思い浮かべ溢れ出そうになる涙を堪え、
携帯の電源を切り、裕介の事を頭から消した。

裕介は突然送られてきた、さゆりからのメールに驚き、直ぐにさゆりに電話した。
しかし、繋がらない。
言い様のない不安が込み上げてくる。
裕介はそこで漸くさゆりのマネージャーの携帯に電話することを思い付く。
裕介はすぐに携帯を取り出し電話を掛けた。
数回の呼び出し音の後、マネージャーが電話に出た。
「はい」
いつもの明朗快活な声ではなくまるで別人のような声。
「新谷です」
「・・・」
[もしもし?」
「ああ、新谷君、何か用かしら」
裕介は先ほど送られてきたメールの事を伝えた。
しかし、陽子はぐらかすようなことを言う。
「陽子さん!」
「・・・新谷君、あなたが付き合っている子は、もう普通の女の子じゃないのよ。
アイドルで、そして、これから、女優になる子なの。
これからは、テレビ、雑誌、どんどん露出が増える。
もうあなただけの彼女じゃないの。
さゆりにはこれからいろいろ辛いことが起る。
それを自分の力で乗り越えていかなきゃならない。
これからは、女優として業界の人とおつき合いしていかなくちゃいけない。
その過程では、あなたの到底理解出来ないこともあるでしょう。
でも、彼女は自分の意志で女優になるって決心したの、
そんな、彼女を理解できないなら別れた方がいい」
陽子は一息でそう言うと、電話を一方的に切った。

裕介は呆然としていた。
『これからは、女優として業界の人とおつき合いしていかなくちゃいけない。
その過程では、あなたの到底理解出来ないこともあるでしょう』
陽子の言葉は核心はつかなかったが、裕介にはなんとなく理解ができた。
芸能界では身体で仕事をもらう人がいるというまことしやかな噂があることを。
そして、その言葉を再度頭に浮かべ、
さゆりを想像し、そんなことは信じられなかった。
さゆりがそんなことするはずない。
そう確信しながらも、さゆりのグラビアでの艶かしい顔が思い浮かぶ。
裕介は頭を振る、そんなはずない、さゆりがそんな、身体で仕事なんて・・・

さゆりは大磯がいる部屋の前に立っていた。
足は震えている。
さゆりは息を深く吸い込み、顔をきゅっと結んだ。
自分の弱さを大磯に見られたくない。
大磯に奪ってやったという優越感だけは与えたくなかった。
こんなことなんでもない女だと振る舞おう、さゆりはそう心に決めていた。
さゆりは深呼吸をすると震える手でノックする。
乾いた音が静かな廊下に響いた。
少しの間があって、扉がゆっくりと開く。
そして、目の前にバスローブ姿の大磯が現れた。
大磯はオーディションの時にはつまらなそうに渋い顔をしていたが、
目の前にいる大磯は打って替わって笑みを浮かべている。
さゆりはその笑みにぞっとした。
大磯はさゆりの背中に手を充て優しく中に促す。
部屋の中に入ると、大磯はさゆりから離れ、
物色するようにじろじろとさゆりの身体を眺めた。
大磯の中年太りの体系、脂ぎった顔、
全身には汚い体毛が生え、股間を隠したバスローブが既にそそり立っている。
さゆりは思わず恐怖で崩れそうになる顔をまたきゅっと結んだ。
さゆりの様子をじっとみていた大磯はふっと笑う。
「こういうこと初めてかい?」
大磯は心底楽しそうに言った。
「・・・いいえ」
さゆりは思わせぶりの笑顔で言った。
私はこの男にただやられるわけじゃない、私が利用してやるんだ。
絶対弱いところは見せない。

「へぇー、そうなんだ」
大磯はそんなさゆりの態度をすべて見透かしたかのように笑うと、
さゆりに近づき、耳もとで言った。
「じゃあ、楽しませてくれよ」
「・・・ええ」
さゆりは笑顔で答える。
しかし、次の瞬間。
「・・・うっ」
大磯がいきなりさゆりの口に吸い付いた。
裕介以外の男との初めてのキスだった。
大磯の舌がさゆりの唇を舐めまわし、抉じ開けるように口の中に入ってくる。
さゆりは気持悪さで嗚咽しそうになったが、気丈に大磯の舌を吸う。
大磯が僅かに口を離すと、今度は自分の舌を大磯の口の中に入れた。
舌に粘った唾液が絡むが、おかまいなしに口中を舐めまわした。
さゆりは息を吸うため、舌を口から出し、大磯の口元に垂れている唾液を舐め取り、
大磯に笑顔を見せた。
「ヘぇー上手だね」
大磯は笑顔を見せながら、心の中でこう思っていた。
純情なお嬢ちゃん、余裕見せてられるのも今のうちだよ、滅茶苦茶にしてやるからなと。

大磯はまたさゆりの口に吸い付く。
そして、流れるような動きで上着を脱がすと、
キャミソール越しにさゆりの胸を揉み始めた。
「あっ・・・シャワーを」
「そんなのいいよ」
大磯はさゆりの首筋を舐める、が、ここでもっと面白いことが思い浮かんだ。
大磯はさゆりから離れ、ベッドに座った。
さゆりは何が起るのかと不安な様子で大磯の行動を見つめる。
「君はこれから女優になるんだろ、
だったら今からストリッパーの役になり切って服を脱いでくれよ」
さゆりは大磯のいきなりの要求に怯んでしまう。
「なんだ、出来ないのか、さあ、そっちのベットにあがってやるんだ」
大磯はベッドを指差し、いやらしくニヤニヤ笑う。
さゆりはその表情を見て、大磯の思惑が感じとれた。
ここで、怯んでは大磯の思惑通りになる。
「やります」
さゆりはそう言うと、ベッドに駆け上がりキャミソールに手をかけ、一気に脱ぎ捨てた。
「おい、おい、おい、なにやってるんだ。そんなストリッパーいないだろう」
大磯は何やってんだとばかりに失笑する。
「もっと、艶かしくするんだ。女優だったら、それぐらい簡単にやれるだろう」
さゆりは一瞬俯き、顔を上げた。
その顔は豹変し、艶かしく舌を唇に這わせた。

「いいぞ」
大磯は身を乗り出した。
さゆりは左手で下着越しに持ち上げるように胸をまさぐる。
胸をまさぐるたびにブラジャーが少しずつ持ち上がり、僅かに淡い茶色の乳輪が見える。
大磯の視線がその乳輪に注がれる。
さゆりはそのまま胸を揉みながら、
右手でジーンズのボタンを外し、チャックをゆっくりと下ろす。
間から白い下着が覗く。
ふっ、余裕ぶるなら黒い下着ぐらい履いてこいよ。
大磯はにやつく。
しかし、さゆりには大磯の心中など到底わからなかった。
ただ夢中だった。
さゆりはパンツを足首まで下ろすと、
片足を抜き、もう片方の足でジーンズを大磯のほうに蹴った。
そして、右手で下着越しに陰部を撫でる。
大磯はじっと黙ってさゆりの行動を具に見つめていた。
その視線が顔に向けられているの気付いて、さゆりは直ぐに顔を艶かしくする。
「おお、乳首立ってるじゃないか。興奮してるのか」
その言葉にハッとして胸を見ると、乳首が露出していた。
夢中だったせいで、気付かなかった。
しかし、その大磯の言葉が、
ここに来て始めて自分の裸が見られるという、言い様のない実感がさゆりを襲う。
恥ずかしさから、一気に顔が火照る。

「何やってるんだい。そろそろ、全部見せてくれないか」
大磯はさゆりの一瞬の戸惑いを見て取りバカにしたように言った。
これは演技、私は女優として裸を見せるだけ。
さゆりは呟くと、ブラジャーを外した。
さゆりの細い身体に似合わない豊かな胸があらわになった。
大磯は唾を飲み込んだ。
さゆりは大磯を見据え、腰に手を充てると、
ゆっくりと下着をおろしていく。
さゆりの陰毛が徐々にあらわになっていき、さゆりは全てを脱ぎ捨てた。
身体が強張るのが分かる。自然と陰部に手を充て隠してしまう。
「おい、ストリップの見せ場はこれからだろう」
さゆりは一瞬大磯を睨んだが直ぐに顔を緩める。
私は演じてるんだ。演じてるんだ。
さゆりはベッドの上に体育座りした。
大磯はにやつき、その視線を一点に集中させた。
さゆりは両手をそれぞれの膝に充てた。
膝が震えている。
こんなことなんでもない、なんでもない。
さゆりは徐々に膝を開いた。
そして、ついに開ききった。
さゆりの陰部が好きでもない男の前に晒される。

「へぇー、グラビアやってるだけあって毛の処理しっかりしてるんだな」
大磯はそう言うと、笑顔で更に何をするんだと催促する。
さゆりは膝に充てた手を陰部に充てて、陰部を開いた。
「何だよ、濡れてるじゃいか」
さゆりも陰部に触れた時に気付いていた。
「お前、変態だな」
大磯が侮蔑を含んだ語調で言った。
さゆりは自分がさらされている恥辱に恥ずかしさと悔しさが込み上げてきた。
しかし、さゆりは大磯をまっすぐ見つめ、指で陰部を撫ではじめる。
意地だった。
ここで恥ずかしがったら思うつぼだ。
もう、自分を捨てよう。
さゆりはこわごわ動かしていた指を激しく動かす。
指は屹立した突起にあたる。
「・・・あぅん」
さゆりの口から喘ぎ声が洩れる。
裕介とのセックスの時にも恥ずかしさから堪えて出さない声を
好きでもない男の為に喘ぐ。
「あぅっ・・・」
さゆりは指を膣に滑り込ませ動かす。
若く可愛い女と中年太りのおやじだけの二人の異様な空間、
その異様な空間にさゆりの陰部から溢れた液体が出す卑猥な音が
『ピィチャピィチャ』と響く。
そこで、大磯が立ち上がった。
さゆりは構わず大磯を見つめ、「あぅん」とまた啼く。
大磯はさゆりの方のベッドに上がりさゆりを見下ろした。
さゆりも感じ入った顔で見つめ返す。
大磯はどんなにさゆりが慣れたように振る舞おうとも、
さゆりがこんな女ではないと確信していた。
大磯はこれまで女優と何人も寝たことがある。
本当の淫乱はこんなものじゃない。
しかし、健気にも頑張るさゆりが大磯を余計興奮させていた。
ふっ、どこまで、気丈さを保てるかな。
これから、もっと、壊してやる。
そう思うと、大磯は笑いが込み上げる。
さゆりは大磯の見せたおぞましい顔に何かいいようのない不安を感じる。
大磯は追い討ちをかけるように、バスローブを剥ぎ取ると、
そそり立った陰茎をさゆりの顔に突き付けた。

さゆりは目の前に突き付けられた陰茎に思わず顔を引いてしまう。
大磯の太くてどす黒いグロテスクな陰茎。それは裕介ものとはまるで違うもの。
その陰茎の先にはすでに粘った液体が溢れている。
さゆりは陰茎から大磯の顔に目を移す。
大磯はにやにやと笑っている。
さゆりは気丈ににっこりと笑うと、陰茎に顔を向け、舌を出すと陰茎の先を舐める。
陰茎の先の粘った液体が糸を引き舌に引っ付く。
さゆりはそのまま陰茎を銜えこんだ。
陰茎の根っこを手で擦り、先を舌で舐める。
さゆりの舌使いに、大磯の陰茎がびくびくと反応する。
「はぅ・・・上手いなぁ、いつも、このテクで、仕事貰ってるのか」
大磯はさゆりの自尊心を傷つけてやろうといやらしく言った。
「ええ、そう」
さゆりはそう返すと、手を激しく動かし陰茎を銜えたまま顔を上下させる。
「ほんとにちん×んが好きなんだな。
じゃあ、気分盛り上げるために、なんか卑猥なセリフでも言ってくれよ」

さゆりは大磯に笑みを向ける。
「・・・わたし・・・おちん×ん大好き」
ふっ、これはおもしろいな。
「ほらもっと」
「おちん×ん・・・舐めるの大好き」
さゆりの言い慣れない言葉が逆に大磯を興奮させる。
「ふうぅ、たまらん」
さゆりは大磯の様子を見て、さらに激しくする。
「あぅ、気持いい・・・吸ってくれ」
言葉に従い、さゆりは陰茎を吸う。すると、大磯の陰茎から液体が放たれた。
途端に口中に精液が溢れる。
口から精液が溢れ出し、さゆりの口から身体に流れ落ちた。
「おい何やってるんだ。全部飲まなきゃだめだろ」
さゆりは驚き見上げると、大磯がニタニタ笑っている。
さゆりは身体についた精液を指で掬うと、意を決し口に運んだ。
粘った精液が口中から喉を通る。
「ほらっ。綺麗にしてくれ」
大磯は陰茎をさゆりの顔にまた近付ける。
さゆりは自らの唾液と精液で黒光る陰茎を丁寧に舐めはじめる。
「はっは、君みたいな淫乱な子、彼氏にはもったいないな」
その言葉にさゆりの顔が引き攣ったを大磯は見逃さなかった。

ふふっ、鎌を掛けたのがはまったか、
やっぱり彼氏もちか、こりゃいい。お楽しみはこれからだ。
「彼氏は、仕事貰うために身体売ってるの知ってるのか?」
さゆりは何も答えない。
「彼氏も可哀想だな。彼女が身体売ってるなんて」
「違う!」
さゆりは始めて感情を表にした。
「じゃあ、今舐めてるのはなんだい」
さゆりは少し萎んだグロテスクな陰茎を放し、顔を背けた。
「どうしたんだよ、お楽しみはこれからだよ。さっきみたいに淫乱を演じるんだ」
その言葉に、さゆりは驚き大磯を仰ぎ見る。
「ふっふっ、こんな初々しい淫乱なんていないよ。
私が見抜けないとでも思ったのか、君の演技はまだまだだな」
さゆりは自らの精一杯の行為が、今は反発してきて惨めさと羞恥が身体を覆う。
「心配するなよ。淫乱の演技は今から俺が丁寧に教えてあげるよ」
そう言うと、さゆりの豊満な胸に手を這わせた。
「いやっ」
さゆりは怯えて逃げようとするが、大磯は放さない。

「帰っちゃうの。社長悲しむんじゃない」
脳裏に優しい社長の顔が思い浮かぶ。
「ここまで、エッチなことして、何も収穫なしで帰るの。まあ、私はいいんだけどね」
その言葉で、さゆりの抵抗がなくなる。
もう、私はやられてしまったんだ。もう少し我慢しようそれですべて終わる。
さゆりは観念し、大磯に身体をゆだねた。
「そうそう、いい子だ」
大磯はさゆりの身体をベッドに寝かし、胸を丹念に揉み始めた。
さゆりの張りがある胸が大磯の手の動きにあわせて揺れる。
大磯は首から舌を這わしていき、徐々に責めていく。
乳首の周りを舐めまわし、尖った乳首に舌先で軽く触れた。
「あぅ」
さゆりの顔にはさっきまでの気丈な顔はなくなり、弱々しく歪んでいる。
「凄く乳首固くなってるぞ」
大磯は固くなった乳首を吸い上げる。
「いっいぃぃ」
大磯はさゆりの反応を楽しみながら、足下を手で探る。
そして、それが手に収まった。
大磯はそれをさゆりの顔の前に持ってきた。

?hぅいぃいいん。
ローターが振動する。
大磯はにやつきながらローターをさゆりに舐めさせる。
大磯の手がさゆりの下腹部にあてがわれ、陰毛をかき分け、
さゆりの唾液がついたローターが陰部に触れた。
「いやぁぁぁぁっぁう」
さゆりの陰部から液体があふれ、チャプチャプと音を起てる。
大磯はローターを滑らせ突起した部分に激しく擦りつけた。
「ああぅぅぅぅっ」
さゆりの口から激しい喘ぎ声が出る。
「ふっ、さっきの強がってた姿もよかったが、弱々しいのもまたいいな」
大磯は顔をさゆりの陰部に寄せると、吟味するようにさゆりの陰部を見る。
「ほとんど、経験ないみたいだな」
大磯はさゆりの陰部にむさぼりついた。
「ふぅぅううう」
大磯はさゆりの陰部から溢れ出た液体をジュルジュルと吸い上げる。
「どうしたんだよ、気持いいならハッキリと言わないと」
「あぅうううう」
「ほら、女優ならちゃんと感情を言葉で表現しろ」

大磯は手で陰部を弄ったまま、さゆりの顔を覗き見る。
「・・・きもち・・いい」
大磯は満足げに笑う。
「口開けて」
さゆりは言う通りに口を開ける。
大磯はさゆりの口の中に唾液を流し込む。
唾液は糸を引き、その糸に引っ張られるように大磯がさゆりに顔を近付けると。
さゆりは大磯の口に吸い付いた。
「ほら、また大きくしてくれよ」
大磯はさゆりの手を自分の陰茎に導く。
さゆりは手につかんだ陰茎を上下に揺らすと、直ぐに陰茎は大きく固くなる。
大磯は大きくなった陰茎をさゆりの陰部にあてて、擦り付け始めた。
「はぅっ、あぅう」
「いくぞ」
大磯が軽く腰を揺らすと、すでに、ぐしょぐしょになったさゆりの陰部に滑り込んだ。
「あああぅぅぅんんん」
「はっ、はっ、はっ、気持いいよ。君はどうだい」
「・・・あっ、っ、き・もちい・い」
さゆりは快感の溝にはまり込む。
大磯の腰の動きにあわせてさゆりの身体も揺れる。

「どうだ、おれのは気持いいか」
「・・・は・・い」
「ハッキリと言わないか」
「お・・・ちん×ん・・・おちん×ん気持いいよぅ」
「ふふっ、前言撤回するよ。君はほんとうに淫乱だよ」
さゆりは快感から閉じていた目を薄ら開く。
大磯はさゆりと目が合うとニヤっと笑った。
「今どき、身体使って仕事取る子なんてそうそういないよ。
今回、試しにいくつかの小さな事務所にこの話を持ちかけたんだ。
殆どの事務所が即答で断ってきたのに、まさか、君が来るとは思わなかったよ。
面接では清純そうだったのにね、プロデューサとの賭けに負けて僕は大損だ。
ふたを開けてみれば、仕事のためなら股開いて、ストリップショーするんだからな」
「・・・ひどい」
大磯の口から吐き出される信じられない言葉の数々。
裕介を裏切ってまで、私は・・・
さゆりは屈辱から僅かな誇りを踏みつぶされ涙が溢れる。

「ふっ、でも、気に入ったよ。恥じらいを隠してする初々しいストリップ、
彼氏がいても、仕事のためだったら簡単に股を開き、
おちん×ん大好きだもんな、きみは十分一流女優だよ。
約束通り、君を準主役に配役するよ。もちろん、まだまだ楽しませてもらうけどね」
大磯は舌舐めずりし、さらに激しいピストン運動を始めた。
さゆりはくやしかった。
私はお金のために身体を売るような子達をもっとも蔑んでたんだ。
それなのに・・・私が・・・
大磯は逃げようとする、さゆりの身体を無理矢理に掴まえ激しく叩き付ける。
「あぁぅっつつっつ」
最早あがなうことが出来ない、もうなんの気力もない。
・・・落ちよう。
身体の力が抜け、全ての抵抗を諦めた。
すると、逃れようとしていた快感が一気にさゆりを襲う。
「いっ、いいっ、いっ、いいっ」
さゆりは自ら腰を振り始めていた。
大磯の陰茎を気持のいいところに当てようと必死に腰を振る。
そして、さゆりは快楽の底に落ちていった。
「いっくぅうぅぅ!」
さゆりの身体が弓なりに仰け反り、陰部が絶頂から収縮する。
「おおぅ。いくっ」
そして、さゆりは自分の中に放たれた熱いものを、朦朧とした意識の中で感じていた。

ホテルの窓から朝焼けが部屋に入ってきていた。
意を決してホテルに入ってもう十時間が過ぎていた。
さゆりは今、口から涎を垂らし、四つん這いになり大磯にお尻を突き出している。
さゆりは肛門もローターを含んだ陰部も明るくなってきた部屋の中で、
その皺の一つまでも大磯に晒していた。
すべての抵抗をやめ、快楽の底に落ちたさゆりはいかされ続けた。
途中からは、気が狂ったかのように喘ぎ叫んだ。
半目で呆然としているさゆりの顔を大磯は笑顔で覗き込む。
「よう。先に帰るよ。2週間後、顔合わせだからちゃんと来るんだぞ」
そう言うと、大磯はさゆりを残して部屋を出ていった。

さゆりは足下をふらつかせながら一人ホテルを出た。
太陽が眩しい。
「・・・さゆり」
さゆりは声の方を向く。
「・・・社長・・・」
郡山はうっすらと涙を浮かべていた。
「・・・」
「・・・2週間後、顔合わせだから。忘れないでね」
さゆりは笑顔で言った。
「・・・うっ・・・」
郡山は涙を拭い懸命に笑顔を作り何度も頷いた。

「じゃあ」
「はい」
さゆりは郡山に車でマンションの入り口まで送ってもらった。
車が見えなくなると、力が抜けたかのように腰が砕けた。
すると、足音が近づいてくる。
「だいじょうぶか。さゆり」
裕介が走ってくる。
「・・・ゆうちゃん」
さゆりは溢れだしそうな涙に気付き、慌てて堪え、なんでもないと立ち上がった。
「何処いってたの」
「映画の打ち合わせだよ。ゆうちゃん、私、準主役に選ばれたんだよ」
さゆりの思わぬ笑顔に裕介は驚く。
「打ち合わせって、一晩もかけて」
「そうなんだ。社長張り切っちゃってさあ。みんなにお酒ついで回って大変だったのよ」
さゆりのあっけらかんとした様子に、
裕介は自分の想像が間違っていたのかと感じ始めた。
「昨日メールで『ごめんね』って送ってきたけど」
「それは、ほら準主役に決まったでしょ、
だから、ますます忙しくて会えなくなるなって、それで」
「そっか」
あっけらかんと言うさゆりの姿に、
裕介は自分の思い違いにほとほと馬鹿馬鹿しくなった。
マネージャーの陽子が脅すようなこと言うから。

「ゆうちゃん私徹夜明けで疲れてるから・・・」
「あっ、そっか、そうだな。じゃあ、俺帰るわ」
「心配かけてごめんね。後でメールするから」
「うん」
さゆりは笑顔で手を振るとマンションに入っていった。
裕介は地に落ちていた気持ちから、一気に天にも昇るようだった。
これで、グラビアの仕事もなくなる。
裕介は帰る道、足下が軽くなっていた。
一方さゆりはふらつく足取りでなんとか部屋に辿り着くと、涙が溢れ出た。
裕介に本当の事を言えない自分のずるさから。
しかし、それよりも本当は裕介には知られたくなかった。
自分が仕事をもらうために身体を許す女だって知られたくなかった。
好きでもない、中年の男に悶え求めたことを知られたくなかった。

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