さよなら明日香 その2
明日香は二日酔いと激しい性行為でぐったりとして、服を着替えることもなくベッドに倒れこんだ。
目を瞑り、自分に降り掛かった現実とも覚束ないような出来事を思い起こし、
辻内に見せた自分ではないような悶え乱れた醜態に頬を染める。
明日香には辻内との性行為の生々しい感覚が、身体にも心にもしっかりと刻み込まれていた。
明日香は沸々と甦る性欲に、身体が火照り、誘われるように胸を触り、陰部に触れる。
胸は張り、陰部は濡れている。
「あっ・・・」
自分の激しい性欲の目覚めに戸惑いながらも酷く興奮する。
右手で胸をまさぐり、左手で陰部をまさぐる。
しかし、突起した秘部に触れたとき、裕樹ではなく、辻内との性行為を想像している自分に愕然とする。
裕樹の顔が思い浮かび、身体の火照りは消えてしまう。
明日香は裕樹を裏切ってしまったという事実に漸く気付く。
いや、事実はわかっていても心のどこかで自分に都合のいい言葉で否定していた。
「・・・ゆうき」
昨日は喧嘩したけど裕樹のことが嫌いなわけじゃない。裕樹のことは好き。
始めてバイトから二人で帰った日のバイクを押してくれた裕樹の優しい横顔。
人見知りをするけど、私には優しい笑顔を見せる裕樹。
明日香はハッとして慌てて携帯を鞄から取り出す。
何度も裕樹とあゆみから電話の着信がある。
メールを確認すると裕樹から一通、あゆみからも一通受信していた。
「明日香、今日はごめん。明日香の不安な気持ちわかってあげられなくて。
もう一度、明日香と将来の事を真剣に考えたい」
裕樹のメールを受信したのは昨日の午後9時、ちょうど辻内とお酒を飲んでいた時間。
明日香は裕樹のメールに手が震える。
裕樹の明日香を真摯に思う気持ちが、自分のしてしまった事と交差し胸を苦しめる。
「ゆうき・・・ごめんね」
裕樹を裏切ってしまった明日香の瞳から涙が溢れる。
涙目で明日香はあゆみのメールを開く。そこに救いがあるかのように。
あゆみのメールは午前5時、おそらくタクシーの中で受信したのだろう。
「明日香、話があるから、このメール見たのなら今日学校の前のカフェに来て」
明日香にはどうして裕樹とあゆみから揃って電話がきたのか分からない。
それも、昨日の晩に。
もしかしたら、裕樹に私と喧嘩したことを相談されたのかも・・・
明日香はそう考えると、あゆみの悲しそうな顔が思い浮かぶ。
あゆみは私と裕樹のことずっと応援してくれているから。
明日香はあゆみに今の状況をどう伝えれば言えばいいのか分からなかった。
カフェに明日香が入るとあゆみが窓際の席に座っていた。
明日香はあゆみに近付き、「・・・あゆみ」と声を掛け、目の前に腰掛けた。
あゆみは昨日の疲れで酷い顔をしている。
「どうしたの、あゆみ、酷い顔してるよ?」
あゆみは明日香を疲れた目で見つめる。
「明日香昨日何してたの?」
あゆみの明日香に対する問いかけには自然と棘が含まれる。
「何って、どうして・・・」
「何度電話しても明日香出ないし」
「・・・うん、あのね、電源切ってたから」
「どうして」
「・・・」
「辻内と一緒にいたんでしょ」
「えっ・・・」
「××駅前に二人でいるの見たよ」
明日香は顔が引き攣る。あゆみは明日香の目をじっと見て逸らさない。
「うん、そうなんだ・・・就活の相談にのってもらってたんだ」
「・・・ほんとに、それだけ」
あゆみは悲しそうに呟く。
「うん」
「・・・昨日、あたし、裕樹と一緒に明日香のことずっと探してたんだよ」
「・・・裕樹と・・・」
「裕樹、明日香の事が心配で、必死で色んな店探して・・・
朝までずっと明日香の家の前で明日香の帰り待ってたんだよ」
あゆみは途中から涙声になる。
明日香の顔はあゆみの言葉で蒼白になる。辻内といたことが裕樹に知られてしまった。
・・・裕樹に知られた。辻内とキスしていたのも見られてしまった。
「明日香、何もなかったのよね」
あゆみは涙をながしながら懇願するように言う。
明日香は何も答えられない。
「明日香!!」
あゆみは明日香の肩を掴み激しく揺らす。
「・・・」
「明日香・・・どうして。どうしてなの。明日香そんな子だったの。
喧嘩したぐらいで、他の男と直ぐに寝ちゃうような女だったの」
明日香とあゆみのただならぬ様子に周囲がざわめき出す。
「裕樹が可哀想だよ。明日香とのこと真剣に考えて、悩んで、
それでも前向いて、夢に向かって頑張ろうって・・・」
裕樹の夢、明日香は裕樹は将来の事も考えず自堕落に過しているものと思っていた。
そんな裕樹の姿にずっとイライラしていた。
でも、裕樹は将来の事をちゃんと考えていたんだ。
「明日香・・・」
あゆみは最後の言葉を飲み込み立ち上がる。
「あ・・・あゆみ」
あゆみは悲しそうに明日香を見下ろすと、何も言わず立ち去った。
明日香は目の前から大切な光りが消えたように感じる。
昨日裕樹と喧嘩して、もうダメだ別れようと考えたのは事実だけど、
それは頭の中で考えていただけだった。
一時の迷いで本当に別れたかったんじゃない。
その事に漸く気付く。
「ゆうき・・・」
明日香はその場で俯き涙を流した。
裕樹の携帯に今の気分とは不似合いな軽快な着信音が鳴る。
あゆみからだ。
「もしもし」
「もしもし、裕樹・・・大丈夫?」
「うん大丈夫、昨日はありがとう」
「うん」
「・・・」
[・・・」
「ねぇ、今日遊ばない?」
あゆみの声が無理に明るくなる。
「・・・」
「ねぇ、おいしい店あるんだけど、一人じゃ行きにくいから・・・ねっ」
心が折れそうになっていた裕樹には、あゆみの優しさが嬉しかった。
「・・・わかった」
「よかった。それじゃあ××駅前で待ってるね」
「あゆみ、もしかしてもう駅前にいるの?」
電話越しに街の喧噪が聞こえる。
「うん、そうなんだ」
「それ、早く言えよ。直ぐに行くから」
「うん、待ってる」
「あゆみ?」
「・・・裕樹」
グラスを傾け、あゆみは力なく笑う。
「今日はあゆみがおれを励ましてくれるんだろ」
「はは、そうだよね」
「そうだろ、なんかあゆみらしくないよ」
あゆみは店内の薄明かり越しに見える裕樹の強がりが痛い。
今日は滅茶苦茶飲んで元気づけようと思っていたが、いざ裕樹を目の前にすると言葉が出て来ない。
「・・・裕樹、どれぐらい明日香の家の前で待ってたの?」
裕樹の脳裏に明日香が知らない男とキスをしている姿が否応無しに甦る。
「朝までかな・・・」
「・・・そう」
「・・・明け方、明日香がタクシーで帰ってきて、そこで、知らない男とキスしてた」
裕樹はそう素っ気無く言ったが、口元が震え、目尻がうっすらと濡れている。
「・・・裕樹」
「俺、振られちゃったみたいだな」
裕樹は頭を掻いて、下手な笑顔を見せる。
「・・・」
あゆみは裕樹の強がる姿に涙がでそうになるが、ここでは泣けないんだと必死で堪える。
「・・・裕樹・・・。あたし裕樹のいいところいっぱい知ってるよ」
「いきなりどうしたの?俺は大丈夫だから」
裕樹は照れくさそうに笑う。
「ううん、違うの。あたし裕樹と明日香のこと一番近くで見てきた。
裕樹の夢聞いて、いいなって思ってた。
裕樹は肝心な所で、頼り無いところがあるけど頑張れって・・・
そして、二人が幸せになって欲しいって・・・。
でも私、いつからか裕樹のことが好きになってた・・・。
・・・だから裕樹の苦しんでるの見てるの辛いよ」
あゆみはそう言うと堪えていた涙が一雫こぼれ落ちる。
すると、堰を切ったように涙が溢れ出る。
裕樹はあゆみの言葉に動揺していた。
いつも明るいあゆみの笑顔、悩みを相談しても強く優しい言葉で励ましてくれるあゆみ。
あゆみのことは大好きだ、でも、それは明日香に対する好きとは違う。
「・・・あゆみ」
「もう、何困った顔してんのよ。すぐに顔に出るんだから」
あゆみは泣きながら笑う、化粧が崩れて目もとは黒ずんでいる。
「ふぅー、なんかあたしのほうが飲んで泣いてスッキリしたみたいね」
「そうみたいだね」
裕樹はあゆみの精一杯の優しさに包まれて自然と笑顔になる。
「あーあ、化粧落ちちゃった」
「うん。すごいことになってるよ」
「バカ!」
あゆみの瞳から涙が零れ落ち、笑って言った。
裕樹はその後、ほろ酔い加減のあゆみと駅で別れた。
家まで送ろうとしたけど、あゆみはそれを固持した。
「失恋したのに、送られちゃ困る」
裕樹はあゆみの言葉に吹き出し、あゆみも笑う。
胸がどうしてか暖かい。
あゆみの優しさが裕樹の苦しみを和らげてくれていた。
空を見上げると見える星。
明日香を待っていた昨日、見ていた星は裕樹の心を詰まらせた。
でも、今は違う。星は確かに輝いている。
裕樹はあゆみと別れ、軽くなった足取りで家路についた。
しかし、アパートの路地に入り足が止まる。
入り口には明日香が立っていた。
「・・・明日香」
「・・・裕樹・・・」
裕樹にはそこに立っている明日香が、自分の知っている明日香じゃないように感じる。
たった一度のすれ違いなのに。まるで自分の知らない人のように遠くに感じる。
「・・・どうしたの?」
「・・・裕樹、昨日私のこと探してくれたんだね」
「・・・うん」
「ごめんね」
明日香の身体が震えだし、堪えていた涙が溢れ出す。
裕樹は明日香の涙に切なくて堪らなくなる。
「大丈夫だから」
裕樹は気丈に笑顔で答える。
「裕樹・・・私がキスしたの・・・見てたんだよね」
「・・・うん」
「・・・ほんとにごめんね・・・裏切っちゃったよね・・・」
明日香はその場で蹲り咽び泣く。
裕樹は明日香の小さな身体が震える姿に胸が詰まる。
その場に裕樹もしゃがみ、顔を覆った明日香の手に触れる。
明日香の手は驚くほど冷たくなっている。
「・・・ずっと待ってたの」
明日香は咽び泣きながら頷いた。
「とにかく、中に入ろう」
裕樹は明日香の手を引き部屋に入る。
「ごめんね、ごめんね」
部屋に入ると謝り続ける明日香を目の前にして、裕樹はどうしていいのか分からない。
「もう、いいから。あの日は俺も悪かったから」
「ううん、そんなことない。わたし・・・」
「とにかく落ち着こうよ」
裕樹は明日香に近付きそっと抱き締め背中を摩る。
明日香は裕樹に触れられたとき一瞬びくっと震える。
裕樹は明日香の身体の震えを敏感に感じ、慌てて身体を離す。
二人の間に苦しい沈黙が生まれる。
裕樹は恐かった。聞かなければならない事があるのに恐くて聞けない。
それは、僅かな淡い希望かも知れない。
明日香を忘れようと思ったけど、やっぱり明日香の事が好きで、
だから、恐くて聞けない。
でも、胸が息苦しいほど苦しくて、もう全てを知ってしまいたい。だから、
「・・・明日香、あの男と・・・寝たの・・・」
「・・・ごめんね」
裕樹の抱えていた胸の息苦しさが、刺すような鈍痛に変わる。
明日香の顔を正視する事が出来ない。
明日香が他の男と寝た。
ずっと自分だけの存在だって思っていた。
その明日香が・・・
「・・・わかった。もう、遅いから送っていくよ」
裕樹は平静を装い、搾り出すようにそう言った。
明日香は何も言わず裕樹の言葉に従う。
明日香のアパートまでの道を二人は一言も発さずに歩く。
お互いに何を言っていいのか分からない。
頭に浮かぶ言葉は空虚なものばかり。
アパートの前に着き、明日香は裕樹のほうを見たが、裕樹は俯いたまま黙っている。
明日香はゆっくりとアパートに入っていく。
「・・・明日香」
裕樹の呼び掛けに明日香は振り返る。
裕樹は瞳に涙を溜め、顔は情けなく歪んでいる。
「・・・俺、明日香のこと・・・好きだよ。
でも、今は動揺していて・・・どうしていいかわからない。
だから、気持ちの整理つくまで、待って欲しい」
明日香の瞳に溜まった涙が零れ落ちる。
顔が途端に崩れ、笑顔とも悲哀ともとれぬ顔になる。
「・・・ゆうき」
「じゃあ、また電話する」
そう言うと、裕樹は走り出した。
裕樹はアパートに転がり込むように入ると、ベッドに寝転がり蒲団を頭まで被る。
明日香の事を考えるだけで、苦しくて苦しくてどうしようもない。
明日香が抱かれている姿を想像したくなくても考えてしまう。
他の男の前で裸になり、身体を弄ばれたんだ。そう考えるだけで、気が狂いそうになる。
明日香のことは今でも確かに好きだと思う。
でも、この先明日香を愛する事ができるのだろうか。
明日香をこの手で抱く度にこの悪夢に苛まれるんじゃないか。
裕樹は一晩中、自分がこれまでのように明日香を愛す事が出来るのか自問し続けた。
明日香は鏡の前で腫れぼったい目蓋に冷たいタオルを充てる。
タオルを外し化粧をするが明日香の手はいつものように動かない。
なんとか化粧を済ましリクルートスーツを着てもよしやるぞと気合いが入らない。
昨日裕樹が言ってくれた言葉が唯一明日香を支えてくれていた。
大学の構内を明日香は無意識に歩いていた。
周りの学生達の喧噪も耳に入らない。
彼等の明るい笑顔が今の明日香には違う世界の人間に感じる。
「あ・す・か」
明日香はその聞いた声に怯え振り向く。
辻内がにやけた笑顔で明日香の身体を嘗めまわすように見ている。
「今日も飲みに行かない?」
「・・・ごめん」
「えー。なんでだよ」
「もう、辻内君とは行かないから、辻内君も一回だけって言ってたでしょ」
「ふっ、あんなに気持ち良さそうによがってたのに」
明日香は途端に頬を染め俯く。
「・・・それに彼氏に悪いから」
「何?仲直りしたの」
「そう。だから、もう行けないから」
明日香はその場を足早に立ち去る。
辻内はその後ろ姿を見つめていた。
明日香は辻内に会った事で動揺していた。
もう、裕樹を裏切らない、そう決めたから、辻内には会いたくなかった。
その矢先に辻内にあったことが明日香にあの夜の事を思い出させた。
裕樹以外の人の前で肌を見せ、我を忘れて乱れ感じてしまった自分に後悔する。
その時メガネを掛けた男が俯き歩く明日香をニヤニヤ見つめていた。
明日香は自分を見つめる男に気付き、男の気持ち悪い不快な目付きとにやつきにゾッとする。
明日香は慌てて離れようとすると、男が道を塞ぐように近付いてきた。
「村上さんだよね」
「・・・ええ」
「へぇー、やっぱり君か」
男は明日香の身体を再度確かめるように見る。
「なんなんですか」
「清純そうに見えて、辻内とやるなんてねぇ」
明日香の顔から一気に血の気が引く。
「・・・どうして」
「ビデオで君のエッチな姿すべて見せてもらったよ」
「・・・なんのこと」
「辻内とやってるビデオだよ」
「・・・嘘よ!」
「嘘だと思うなら辻内に聞けば」
男がへらへら笑う。
明日香は愕然とする。まさか。
明日香は無我夢中で構内に戻り、辻内を見つけると駆け寄った。
「おう、戻ってきたんだ」
「どういうこと!」
「どう言う事って何?」
「・・・私とあなたのビデオを見たって・・・」
「あぁ、その事。村上の事一生忘れたくなくて隠しカメラで撮っといたんだよ」
「ひどい・・・私を騙したの。そんなの酷いよ!」
明日香は信じられない事実の突きつけに取り乱し、瞳には涙が溜まる。
「なんだよ、村上も俺とのセックス楽しんでたじゃん」
「ビデオ撮るなんて聞いてない!」
「いいじゃん、減るもんじゃあるまいし、それ見てオナニーするだけだよ」
「じゃあ、どうして、他の人がそのビデオ見てるの!」
「あいつが盗撮に協力してくれたからな。いいじゃん、あいつ童貞だし、
ささやかな幸せに、童貞君のおかずになってあげれば。あいつ喜んでたぜ」
明日香は他人に自分の醜態を見られたことの恥ずかしさが襲う。
「なあ、それより、今日飲みに行こうよ。俺ほんとに村上が好きになったよ」
「いやよ!」
明日香は辻内という男に心底怒りに震える。
「あっそ。じゃあ明日には村上、同じ科の男どものオナニーのおかずになっちゃうよ」
辻内の残酷な言葉が明日香の脆い心を叩き壊す。
「村上も気持ちよかったんだろ、だったらそれでいいだろ、
何も彼氏と別れろなんて言ってないよ。彼氏には黙ってればいいんだから。
それで、おれたちは身体の仲だけってことだ」
「・・・そんなことできない」
明日香はいやいやと首を横に振る。
「まっ、それは村上の勝手だけど。
折角彼氏と仲直りできたのに、また喧嘩する事になってもいいの」
もう裕樹を裏切りたくない、でも、それ以上に裕樹と別れたくない。
「・・・わかったわ。だから、テープは返して」
辻内はにやりと笑う。
「じゃあ、今日またあの店で、そのとき持ってくよ」
手を振ると、辻内は去っていった。
明日香はひとりその場に立ちすくんでいた。
裕樹は布団のなかで、愛する人を他人に抱かれた苦しみと戦っていた。
自分の中で全てを割り切る事は出来ない、それでも、明日香を愛している。
裕樹は携帯を取り出し、あゆみに電話を掛ける。
「もしもし、あゆみ」
「どうしたの」
「・・・俺、明日香とやり直したいって・・・思ってる」
「・・・そう。・・・いいじゃん。応援するよ」
「・・・うん。ありがとう」
「裕樹・・・あのね、今日あたし明日香に酷いこと言っちゃったよ」
「・・・そっか。でも俺達のこと真剣に考えて言ってくれたんだろ。明日香も分かってるよ
・・・なぁ、今日三人で会わない。仲直りも兼ねて」
「そだね。いいね。わかった」
「じゃあ、俺明日香今から誘うから、また後で」
「うん」
裕樹はそのまま明日香に掛ける。
数度の呼び出し音の後、明日香が出た。
「もしもし、明日香」
「・・・裕樹」
「あのさ、今日これから、あゆみと三人で会わない」
「・・・今日」
「都合悪い?」
「・・・うん。ちょっと。それにあゆみとちょっとあったから」
「聞いた、喧嘩したんだって」
「・・・うん。そうなんだ」
「明日香とあゆみは親友なんだから、仲直りしようよ」
「あゆみはどう言ってるの?」
「行くって、明日香に悪い事したって言ってたよ」
「・・・そう。うん、わかった。行くよ」
「そう、よかった。じゃあ、場所決めてメールするから」
「うん」
明日香は携帯を閉じ、乾いた音が響く。
裕樹の優しさが明日香を逆に苦しめる。
裕樹をもう裏切りたくない。でも、辻内の顔が脳裏を過る。
でも、このまま辻内の言いなりになったら、どんどん付け込まれる。
明日香は辻内にメールを送る。
「ごめんなさい。今日は行けません」
直ぐに辻内から電話が掛かってくる。
「ふざけんなよ。なんでだよ」
「ほんとにごめんなさい。今日だけはダメだから」
「理由言えよ」
「・・・」
「ははあー。彼氏に会うんだ」
「・・・うん」
「・・・わかったよ」
「えっ・・・ありがと」
「まっ俺も村上に彼氏と別れて欲しいとは思ってないからな。じゃ」
辻内が簡単に折れた事に安堵する。
明日香は裕樹からのメールを見ながら、心に抱えた悪夢を振払おうとしていた。
「・・・明日香ごめんね」
「ううん。私こそごめんね」
ぎこちなかった二人もお互い謝ると、直ぐに仲直りした。
ひさしぶりに三人で飲んで、三人とも大いにはしゃぐ。
その心には幾つかのもやもやを抱えていたけど、
お互いがそれに優しく触れず、前の三人に戻れたみたいだ。
「やっぱり、二人お似合いだよ」
酔って上機嫌になったあゆみが幸せそうに言った。
裕樹と明日香はお互い顔を見合って、照れくさそうに笑う。
裕樹も明日香もどこか恥ずかしくてお互いに話しかけれないでいた
まるで付き合い初めの頃のような二人の仕種にあゆみは笑う。
「あんた達、やっぱ、似たものどうしだね」
裕樹は明日香の笑顔の横顔を見ながら、愛おしさを感じていた。
やり直せる、そう確信した。
「おっ、村上じゃん」
男の野太い声がして、裕樹は振り返る。
イケ面の男が笑顔で手を振り、近付いてくる。
「知り合い?」
裕樹は振り向き、明日香に問う。
その瞬間、明日香の異変にすぐに気付いた。
裕樹はあゆみを伺い見る。
あゆみの顔も引き攣っている。
裕樹はまた振り向き、男の顔を見る。
こいつが・・・
このイケ面の男が明日香と・・・
途端に胸が苦しくなる。
男の顔を知らない事が、せめてもの慰めになっていたところがあった。
しかし、目の当たりにすると、寝取られたんだという実感が襲う。
男は明日香の肩に手を乗せると聞いた。
「村上、こいつが喧嘩してたって言う彼氏?」
「・・・」
明日香は突然現われた辻内に動揺を隠せず、全身が震え俯いてしまう。
「あんた、何しに来たの」
あゆみの声色が怒声を帯びる。
「なんだよ。恐いな、俺も飲みにきたんだよ」
「向こう行ってよ!」
「なんだよ。彼氏さん、いいですよね、一緒に飲んでも」
裕樹は自信満々の辻内の顔を直視出来ず俯く。
「なに?彼氏、恥ずかしがりや」
辻内は笑らいながら言う。
明日香がその時初めて、辻内を見て睨んだ。
その瞬間あゆみが切れる。
「あんた、邪魔だからどっか行ってよ!!」
あゆみの顔は見た事もない形相になっている。
「おー恐いな、わかったよ。じゃあ、ちょっと村上と話あるから」
そう言うと、明日香をみて、顎であっちと促す。
「何言ってんのよ、あんただけが行ったらいいでしょ」
「おまえに関係ないだろ」
辻内はあゆみを睨む。
「なぁ彼氏さんいいでしょ」
辻内は裕樹を余裕の表情で見遣る。
裕樹の身体は震えている。
「・・・ごめん。今三人で飲んでるから」
「ふっ、声ちっちゃ。彼氏さんそんな事だから彼女取られんだよ」
裕樹は我慢出来ず辻内を睨む。
すると、その刹那あゆみが辻内につかみ掛かる。
辻内はつかみ掛かってきたあゆみを素早く振払うと、あゆみはその場に突っ伏した。
「もうやめて!!」
明日香が悲壮な顔で叫ぶ。
「お願い、もうやめて。・・・ごめんね裕樹ちょっと行ってくる」
そう言うと、明日香は立ち上がる。
「明日香・・・」
明日香は裕樹を見て微笑んだ。
「じゃあ、村上行こうか」
村上は明日香の肩に手をかけると、店の外に出ていく。
店の前に立つ二人は道行く人には喧嘩した恋人に見える。
「どういうこと。別れさせる気なんてないって言ったじゃない!」
「村上の彼氏がどんな奴か見たくなったんだよ。
でもなんであんな奴と付き合ってんの。ださいし、なんか頼り無いし」
「辻内君には関係ないでしょ」
「俺あいつに会って確信したよ。あいつは村上とは合ってないよ。
村上があいつとどう言う気持ちで付き合ってんのか知らないけど、
もう一度、考えてみろよ」
明日香は辻内の言葉に耳を貸そうとはしないが、その言葉は確かに耳に届く。
「村上、就活の事であいつと喧嘩したんだろ、
だったら、村上が就職したらどうなるんだ。
ますます、価値観の違いは大きくなるんだぞ。
村上があいつに何求めてんのか知れないけど、
これから、もっと喧嘩して嫌いになって別れるより、今別れたほうがお互いのためだ。まっ、俺にはそんなこと、どうでもいいけど。それよりこれから飲みに行こうぜ」
「・・・今日は行けないって言ったじゃない」
明日香は言葉では反発しながらも、これから先の二人の未来に不安が過る。
「もう飲んだんだろ。次は俺に付き合ってよ」
「・・・無理よ」
「なんだよ。不安な気持ちなんか俺と寝て忘れさせてやるよ」
明日香の脳裏に辻内とのセックスの快感が甦り、否応なく身体が火照る。
「彼氏に適当に嘘つけばいいじゃん。それにビデオを返してほしくないの」
辻内はそう言うとにやつく。
そうだった、ビデオを返してもらわないと。明日香は黙って頷いた。
「じゃあ、彼氏に言ってきなよ」
明日香は辻内に促され、店内に戻った。
席に戻ると、裕樹が辻内に突き飛ばされたあゆみの介抱をしていた。
「・・・裕樹・・・ごめん。私今日は帰るね」
「ちょ、ちょっと、待てよ」
裕樹は慌てて言う。
「ほんとにごめん」
そう言うと、明日香は顔を背け立ち去った。
店の外で辻内が明日香を迎える。
「もういいの?」
明日香は無言で答える。
「あっ、そうだ。さっきジッポのライター店の中に忘れたから、ちょっと待ってて」
そう言うと、辻内は店の中に入っていく。
裕樹は再び店内に入ってきた辻内の姿を見て、表情が一瞬で強張る。
「なんだよ。怒ってんの。まっいいけど。それよりこれ」
そう言うと、辻内は裕樹に紙袋を手渡す。
裕樹は訝し気にそれを受けとる。
「なんか、村上が俺の部屋に来たときに忘れていったから、渡しといて
あっ、今日は疲れてるみたいだから、明日にでも」
それだけ言い、辻内は立ち去った。
辻内が何気なく言った『俺の部屋』という言葉が裕樹の胸を貫く。
裕樹は無意識に受け取った紙袋を開く。
中には、一本のビデオテープが入っていた。
裕樹はあゆみを伺う。
しかし、あゆみも首を傾げる。
その無機質なテープが裕樹とあゆみを不安にさせた。
裕樹はあゆみを部屋に送り、そのままあゆみの部屋に来ていた。
すっかり弱々しくなったあゆみも部屋に帰ると幾分元気を取り戻し、裕樹の世話を焼く。
「コーヒー飲む?」
「・・・いい」
裕樹は手元にあるテープがずっと気になっていた。
あゆみもそれを感じ取る。
「それ、見てみる?」
「・・・うん」
「私、出てようか?」
「いいよ。大丈夫」
裕樹はテープをテレビと一体型のデッキに入れようとするが、その手が微かに震えている。
テープが鈍い機械音と共にデッキに吸い込まれる。
再生ボタンを押せばすべてが変わるそんな感じがした。
それでも、押さずにはいれない。
裕樹は再生ボタンに指を充て、一度目を閉じ、意を決して開くと押した。
デッキが無機質に動きだし、テープが回転する。
青いテレビ画面に一瞬砂荒らしが起り、無人の部屋が映し出された。
その部屋が男の部屋である事、そして、直ぐにその部屋が辻内の部屋だと確信した。
無人の部屋にパンツ一枚の辻内が映りこんできた。
辻内はカメラを確認するように目線をカメラに向けるとにやついた。
そして、扉の開く音がした後、もっとも見たくないものが画面に映った。
バスタオル一枚を纏った明日香だった。
その姿が裕樹には現実に思えなかった。
アダルトビデオを見ているような感覚がする。
辻内は明日香に近付くといきなり抱き締めた。
明日香が驚いて、辻内の耳もとで何かを懇願している。
しかし、辻内はその言葉を無視すると明日香の身体をなんとか隠していたバスタオルを剥ぎ取った。
明日香の一糸纏わぬ裸体が画面に映し出される。画面を通して映る明日香の裸体は卑猥に映る。
明日香は恥ずかしそうにその場にしゃがみ込む。
しかし、辻内に何やら言葉をかけられると、抱きすくめられ、ベッドに寝かされた。
辻内はベッドに寝かした明日香の上に乗りキスをした。
辻内のねっとりとしたキスに明日香の様子が変わっていくさまが見て取れる。
辻内は明日香の身体を嘗めまわしはじめる。
辻内の舌が身体に触れるごとに明日香の身体がビクビクと反応する。
それが、乳首を吸われた瞬間一際大きくなる。
「ああぅ」
その瞬間明日香の声をテープが始めて伝えた。
明日香の声で、その興奮具合が分かる。
辻内は次々と卑猥な言葉を投げかけ明日香を辱めていく。
そして、明日香の身体中を逃さず確認していく。
明日香は辻内の卑猥な言葉に恥ずかしそうに頬を染めている。
しかし、身体が敏感に反応してしまう。
「あぁう。・・・あっ・・あ」
明日香は辻内の前で足を拡げその秘部を晒している。
自分とのセックスでは必ず電気を消させる明日香が、明るい光の元、すべてを辻内に見られている。
そして、辻内は明日香の陰部に触れる。
その瞬間、明日香の身体が弾み喘ぎ声が漏れる。
辻内は明日香の顔を満足げに見ると、陰部を触れた手を激しく動かし出す。
「いや、いやっ、やめて」
明日香の身体が辻内の激しい指の動きで揺れる。
明日香の顔は崩れ、情けない顔をしている。
辻内はさらに指を激しく明日香の陰部に出し入れする。
そのとき、辻内が明日香に何かを囁く。
「いや!お願い、お尻は・・・やめて」
また辻内がなにか呟く。
すると、張っていた糸が切れたように明日香が変わった。
「気持ちいいよ・・・あぁう、あう・・・いきそう」
明日香の喘ぎ声が先ほどとは変わった。
裕樹とのセックスでは、このような喘ぎ声を出した事はない。
「気持ちいいよぅ!だめ、ホントにいきそう!」
その言葉に辻内は更に明日香の陰部を襲う。
辻内の指には明日香から溢れ出た液体がべっとりとつき、その卑猥な音が聞こえる。
明日香の身体がそり上がる。
「いきそう、いきそう、いっちゃう・・・はぅ、あっああああう!!」
裕樹には明日香がその瞬間確かに果てた事が分かった。
明日香の口から涎が垂れている。
その涎を吸い取るように辻内が明日香の口に吸い付く。
辻内が耳もとで囁くと明日香が頷き、辻内が目の前に持ってきたそそり立った性器を銜える。
ぎこちない手付きと口の動きで懸命に奉仕する明日香の姿が痛い。
辻内の感じ入った顔がその痛みを助長させる。
その時、辻内の顔が歪み達した。
明日香の口に放出された。辻内の性器を銜えたままその口に放出された表情が痛々しい。
明日香は漸く口を外すと、辻内の言葉に従い辻内の性器を丁寧に嘗めはじめる。
そして・・・明日香は口に含んだ精子を吐き出すことなく飲み込んだ。
裕樹は凝視していた画面から始めて目を逸らした。
後ろからずっと見ていたあゆみが裕樹に近付く。
「・・・もう消そう」
あゆみが裕樹の手を優しく握る。
裕樹は放心していて、あゆみの冷たい手の感触すらない。
ただ、あゆみに向き直りこの絶望をどう伝えればいいのかそれを無碍に考えていた。
その時、テレビから気味の悪い音が響く。
裕樹がまた画面を見遣ると、明日香の陰部にアダルトビデオでよく見たローターが押しあてられていた。
明日香はそのローターで激しく感じているのか、身体がそり返り、
ローターが感じ入る所に触れる度にビクッと動く。
まるでアダルトビデオの中の女優のように悶える明日香の姿に、
裕樹は絶望と明日香への微かな怒りのようなものが沸き出す。
辻内はその様子を満足そうに見て、造作もなく明日香の上になると、一気に明日香の陰部に性器を突きいれた。
その瞬間、裕樹の心の中の何かが崩れていった。
裕樹の否応無しに耳に入る、明日香の悶えた声で気が変になりそうになる。
裕樹の瞳から涙が止め処なく溢れ、息遣いが激しくなる。
その時あゆみが裕樹を後ろから抱き締めた。
「・・・ゆうき」
裕樹はもう我慢出来ずあゆみの胸に顔を埋める。
あゆみは胸で泣く裕樹を抱き締める。
「いや、いっちゃう、辻内君、いっちゃうよ」
「おれもいきそうだ一緒にいこうぜ」
部屋の中に裕樹の泣く声と、明日香の絶頂に達する声が重なる。
「あっ、あっ、あっ、いきそうだよ・・・ああああああああああ、うふぅーーん」
裕樹はあゆみの胸のなかから画面を見ると、辻内が性器を明日香の顔面に向ける。
性器から勢いよく精子が飛び出し、明日香の顔一面に降り掛かった。
明日香は降り掛かった口に回りについた精子を嘗め取った。
そこで画面が突然暗くなった。
漸く終わった。裕樹はそう思った。漸く終わったんだ。
もういやだ。明日香をもう信じられない自分がいやだった。
明日香は酔わされて、無理矢理やられたんだ、願うようにそう思っていた。
でも、明日香の辻内とやっている顔を見た瞬間その淡い希望はなくなった。
明日香が自分以外の男に感じさせらていた顔が言い様のない悔しさとなる。
その時また無気味な音がテレビからする。
画面には目隠しをした明日香の顔がアップで捕らえれていた。
そして、画面が舐めるように明日香の身体を映し出し、明日香の陰部が大写しになった。
卑猥な陰部の皺一つまで映し出され、陰部から溢れ出ている液体が光る。
「ああああぅぅううぅうっつう」
聞いた事のない明日香の激しい喘ぎ声、笑いながら体中を弄ぶ辻内の声。
もう耳を覆いたい、もう・・・
その時裕樹の頭から手を離し、あゆみがテレビを消した。
「・・・ゆうき」
「・・・あゆみ、俺・・・どうしたらいい」
「・・・」
「・・・おれ・・・情けないよな。彼女寝取られて・・・そいつに何も言えなくて・・・
こんなビデオ見せつけられて・・・
・・・おれ自分に都合よく考えてたんだ・・・明日香は絶対離れないって・・・
ずっと自惚れていたんだ・・・」
「もういいよ」
あゆみは震える裕樹を強く抱き締める。
「もういいから」
そう言うと、あゆみは裕樹の頬、額、そして、口に優しいキスをする。
「・・・あゆみ」
「覚えてる。私、裕樹のこと好きって言ったでしよ。今も変わらないよ」
あゆみは優しい笑顔を見せる。
裕樹は何も言えず、顔が震え、涙が流れる。
そんな裕樹にあゆみは涙を優しく拭いまたキスをした。
今度は裕樹もそれに答えた。
「村上俺とずっとやりたかったんだろ」
「いや。そんな事言わないで」
「じゃあ、なんでこんなに濡れてるの」
辻内は明日香のスカートを巻くり上げ、下着の中に手を入れ呟く。
「ほんとのこと言えよ」
「・・・うん」
「村上って清純そうな顔してほんとすけべだな。みんなに教えてやりたいよ」
「いやっ」
「ふっ」
辻内はそのまま押し倒し、明日香の服を剥ぎ取っていく。
明日香は服も下着もすべて剥ぎ取られると、身体中から辻内の愛撫をもとめている。
辻内は舌で乳首を舐め、指で明日香のクリトリスに触れる。
それだけで、明日香の身体はビクビク反応する。
「なあ、村上、もっと興奮したくないか」
「・・・うん」
明日香はもっと感じたいという欲求が湧き出る。
初めての性の体験への好奇心と性欲が身体から溢れる。
辻内は明日香の返答ににやつくと、「いいぞ」と言った。
すると、バスルームのドアが開き、昼間見た眼鏡の男が現れた。
「いやぁああ!」
明日香は叫び、身体を隠すように捩った。
すぐに、辻内が明日香を押さえ込み耳打ちする。
「あいつ、童貞なんだよ。だから、混ぜてやろうぜ」
「いやっ、いやっ」
「村上もっと気持ちよくなりたいんだろ、あいつは口固いから大丈夫だよ」
男は興奮した様子で頷く。男はすでに裸になっていて驚くほど大きい性器が漲っている。
「あのチンポ見てみろよ。入れたいだろ」
「・・・」
明日香はこの男は生理的に受け付けられないと感じていた。
しかし、その男の性器に見とれ、男の性器に興奮していた。
「こいよ」
辻内は男に手招きする。
男は舌舐めずりすると、のそのそ近付いてきた。
明日香は怯えて身が縮こまる。
そんな明日香を辻内は押えつけながら、足を拡げる。
明日香の陰部が男に晒される。
明日香は恥ずかしさから顔を背ける。
すると、男はいきなり明日香の陰部に吸い付いた。
「いやぁああ」
男は鼻息を荒立て、顔を左右に振りながら舐めまわす。
明日香は嫌悪感から鳥肌が立つが、やがて感じ始めてしまう。
「あっ・・・あ・・・」
「村上もう感じてんのかよ。好きものだな。はっは。じゃあ、俺の舐めろよ」
辻内は明日香の口に性器を押し付ける。
明日香は差し出された性器を口に含み、夢中でしゃぶる。
「あぅうっ・・・」
「俺入れたい」
男が辻内に言う。
「もういれんの。まいいや、入れろよ」
辻内は笑う。
「へっへ。こんな綺麗な子のまんこに入れられるなんて」
そう言うと男は一気に明日香の性器に突き入れた。
「あぅぅぅぅう」
明日香は自分の膣に入ってくる巨大な性器を感じる。
男は夢中で性器を膣に擦る。
「村上、顔見てやれよ。気持ち良さそうにしてるぜ」
明日香は辻内の言葉に男の顔を見る。
その気持ち悪い容姿の男にやられていると言う惨じめさが沸き上がる。
しかし、その男の性器にどうしようもなく感じてしまう。
「あっ・・・・あっ・・・あぅぅぅぅぅ」
「なんだよ、童貞にいかされるのか」
「いっちゃううう・・・」
明日香の身体が仰け反る。
「あぅ、俺もダメだ」
二人は同時に絶頂に達した。
明日香の膣の中が男の精液で溢れる。
「あっ、中でいっちゃった」
「ぷっ、お前なにやってんだよ」
辻内は可笑しそうに笑う。
明日香はその事実に気が狂いそうになる。
「かき出してやれよ」
辻内は笑いながら言う。
すると、男は指を明日香の膣に捩じ込みかき出す。
男の指に男の精液と明日香の液体がねっとりとつく。
「あぁぅ」
その指の動きに明日香は不覚にも再び感じてしまう。
「お前ほんとに変態だな」
その時、明日香の鞄から着信音が聞こえる。
しかし、辻内と男は無視して再び明日香に襲い掛かる。
明日香は二人の男の愛撫の気持ちよさにまた身体を打ち震わせる。
明日香が裕樹からのメールを結局読んだのは、それから、何度も二人に身体を弄ばれた後だった。
『明日香、俺ずっと明日香のことが好きだった。
あの男とやってしまったって知った時も、辛かったけどそれでもやっぱり明日香が好きだった。
でも、明日香があの男とやってるビデオ見て、その時の明日香の顔見て、俺もうダメだよ。
こんな形で別れるの辛いけど、もう明日香の顔見れない。ごめん。
さよなら、明日香』