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それもまた青春

明日香は正直きついし怖い。
実際、あのツリ目でじっと睨まれると、正直体が竦みあがる。
だけど彼女は非常に綺麗な顔立ちをしている為、見つめられると顔が熱くなってしまい、つい見つめ返してしまう。
思考停止。
そうして微動すらしない俺の膝下に、顔を赤らめながら蹴りを入れるのがいつものパターンだ。

明日香とは中学からの付き合いで、卒業と同時に俺が告白した。
OKをもらい、現在交際三年だ。。
高校時代はずっと明日香と共に過ごした。
だが、関係はイマイチ発展せず、未だ友達の延長線上にいる。
くだらない事ですぐ喧嘩になってしまう為だ。
実に情けない話である。

実際の所、明日香は誰にでもきつい訳じゃない。
女友達や、一部の男子に対する態度は実に丁寧な物だ。
その相手の中で俺が気に入らないのが、戸口とかいうギャル男。
褐色に焼けた肌、毎日生徒指導を受けている金髪、いつもへらへらと笑う軟派な顔。
口に出すのは、だるい、しんどい、やりてー、とかばかり。
それでも女受けが良く(男と女に対する態度が全く別な為、二重人格とか呼ばれてる)、
学年学校問わず様々な女と交際しているらしい。
明日香はその戸口と仲が良く、他の女子らに誘われて、しばしば一緒に遊びに行く事もある。
また、戸口に対する評価も俺とは違う様だ。
所謂、堅実とか。
卒業後は夢を叶える為フリーターで稼ぐ言ってるが、断言できる、あいつはただ何も考えずに遊びたいだけだ。

今日の放課後も調子乗りの戸口は人差し指を高らかに上げつつ、カッラオッケ行くひっとこの指とーまれー、と
思わずその口に手に持った鞄をブチ込みたくなる様な口調でほざいていた。
戸口の仲良しグループの男子三名、女子三名が癇に障る笑い声を上げながら、指を重ねていく。
嫌悪感を押さえ込むのに苦労しながら、鞄に教科書を詰め込んでいく。
一緒に帰る為明日香の元に向かう。
と、すでに先客がいた。
さっきの女子が明日香を誘いに来ていたのだ。
押さえ込んだ嫌悪感がにじみ出てくる。
えーどーしよっかなーとか媚びた声を上げる明日香を見て、キモいとぼそりと呟いた。
だが耳ざとい明日香はその言葉をしっかりと聞いていた。
黙ったまま、俺の前へ歩いてくる。
そして、俺の小指を掴むと、むんずと絞った。
い、痛いってと抗議を入れる俺に対し、
小指を取る事で人体の動きを掌握出来るのだ、
とかどっかの漫画からの受け売りらしい台詞を口走りながら、絞りを続ける。
こんなに曲がるんだ、小指って。
本当、突き指って堪らなく痛いよね。

結局当て付けの様に、明日香は戸口達と遊びに行った。
怒りを隠せないまま、たまたま目に付いた太っちょの安藤君と駅前の商店街へ遊びに行く事にした。
安藤君は温厚な性格で、俺の癒し系。
ジャンルを問わず音楽が好きで、勧められた作品はマイナーな物が多かったが、全て気に入った。
どうやら俺の感性は安藤君に近いらしい。
今日も中古CD店へ向かう。
スロウコアで泣ける作品があるんだぜ、と汗を拭きつつ言う安藤君に、返事を返そうとしたその時。
遠くで明日香達が歩いているのを見つけた。
今からカラオケに向かうんだろうか、と思った瞬間、戸口の手が明日香の肩に掛けられているのを見て怒りがこみ上げてきた。
そんな様子に安藤君は心配そうに見ている。
今度埋め合わせをするからと言い捨て、戸口達が向かった方へ走る。
どこだ、あいつは、殴りつけてやる。
物騒に思考を重ねつつ、周りを見渡す。
ここら辺にカラオケ店は無い。移動したのだろうか、と思ったその時声を掛けられた。
件の仲良しグループだ。しかし、戸口と明日香の姿は無い。
どーしたのーとか言われたので、正直に二人の事を聞く。
そうすると、名前も覚えいていない、戸口の取り巻きの男子の一人がガムを噛みながら、にやにやと笑う。
あー、お前確か明日香ちゃんの彼氏だっけ、くちゃくちゃ五月蝿い。
じっと睨みつけてやる。
そうすると女子の一人が気の毒そうに見つめる。何だその目は、さらに苛立ちが増した。
逡巡した後、ゆっくりと口にした。・・・明日香ね、今、戸口君とこ行ったよ。

女子から場所を聞き、その場所へと急いだ。
戸口は一人暮らしでアパートの一室に住んでいる。
先程の地点からは五分程度。
郵便受の表札を確認する、うむ間違いない。
どうするか、と思い試しにノブを掴む。
・・・・・・?開いている。
ある意味戸口らしいルーズさだ。
音を立てない様、ゆっくりとドアを開ける。
靴は・・・・・・戸口がいつも履いてるサンダルと、女子用の革靴の計2足。
靴は脱がないからな、俺は、誰に言い訳してるのだろうかと思いつつ、中に入る。
玄関を上がると、前に引き戸があった。
半開きになっているのに気づき、そっと様子を伺ってみる。
そしてここに来たのを後悔した。

明日香が、戸口の股の間に顔を埋めていたのだ。

戸口はにやにや笑いを浮かべながら、明日香の柔らかい髪を撫でていた。
そして、何やらぼそぼそと小声で明日香の耳に囁く。
明日香は恥ずかしげに頷くと、恍惚の表情を浮かべ、陰嚢を咥えつつ手は陰茎を上下に動かす。
すげー気持ち良いー、そんな戸口の台詞を聞いた途端、殺してやろうかと思った。
粘着質な音を立てている。
見るに耐えない。
よし、踏み込んでやると決心した瞬間、明日香が大きな声を上げた。
見ると、先程まで頭を撫でていた手が、明日香の股間にあった。
膣内に指を入れているのか。本やDVDで見たモザイクでしか、その形状を知らないのだが。
二人とも、喘ぎ声を上げながら(正直男の喘ぎ声など聞きたくは無かった)夢中で行為を続けている。
と、戸口がゆっくりと指を引き抜いた。
指の先から、ぬらりと糸が引いていた。
そろそろ入れるねー、という戸口に荒い息を吐きながら、頷く明日香。
鼻息を荒くしながら、戸口は明日香を犬のように四つん這いにさせる。
そして、腰を両手で掴むと、陰茎を膣内に一気に突き刺した。
力強く何度も叩き付ける。
一方的なピストン運動、だが明日香は感じているらしく喘ぎ声を上げ続けていた。
どうも初めてどころか、何度も同様の行為を行っていたみたいだ。
それぐらい二人の息は合っていた。
体勢を入れ替える。
今度は明日香が上になった。騎乗位ってやつだ。
互いに高みに上るその一心から、声は大きくなり、動きが激しくなっていく。
そして、戸口が腰を深く突きこんだ瞬間、動きが止まった。
互いに達したのだろう、びくびくと細かく痙攣をしている。
明日香はゆっくりと戸口の胸に倒れこんだ。
満足そうにゆっくりと溜息を付いていた。

そこでふと、我に返った。
一体何をしているのだろうか。
まず深呼吸をする、二人の行為を省みる、怒りがふつふつと沸く。
戸を勢い良く横に引いた。
叩き付ける様な音が鳴り、二人の注目がこちらに向いた。
余程驚いたのだろう、目と口を大きく開いた間抜けな表情を浮かべている。
俺は助走し、飛び上がる。
くらえ、昨年亡くなった、かの名レスラーに捧げるフットスタンプっ!
翌日。
俺は高校生活初めて一人で登校した。
教室に入り席に着くと、皆横目でこちらを伺っていた。
ひどい顔になっているのだろうなというのは、自分でも判る。
大きく溜息を付くと、鞄を開けた。
中身は昨日のままだ。
重症だな、思わず苦笑してしまう。
そこへ、ぬっと黒い影が何も言わずそっとCDを差し出した。
安藤君だった。
俺の肩に手を置き、悲しげな笑みを浮かべ、泣けるぜ、と言った。

泣けた。

 

あの日から二週間経った。
未だ心の傷跡は癒えず、ある種の諦観と共に日々を過ごしている。
明日香とは同じクラスという事もあり、どうしても顔を合わせる機会がある。
向こうに罪悪感があるのかどうかは分らないが、目も合わす事は無い。
戸川は以前の通り相変わらず馬鹿をやっている。
もっとも、あの日こっぴどく痛めつけたせいか、俺に対して敵意を隠そうとはしない。
あの日からクラスにおける俺達三人の立場は変わった。
戸川は俺に見せ付ける様に明日香の肩を抱いて、わざわざ側を通り過ぎる。
開き直ったのか、どうやら二人は付き合っている様に見えた。
クラスメイトは俺を同情の視線で見ている。
そ、そんな目で見るなと内心で思いつつも、その様な態度はおくびにも出さない様、気をつけていた。

何か吹っ切れる物が必要だ、そう思い安藤君にバンドやろうぜ!と提案する。
いいねえ! と即快諾。一気に盛り上がる。
しかし希望は両方ともボーカル。
どちらも楽器を弾く腕は持ち合わせてはいなかった。
あと二人ぐらい呼んでアカペラグループでもやれというのか。
クラスでギターとか弾ける奴とかいないのか?
逡巡して申し訳なそうに安藤君は言った。
戸川……。
バンドは一切公演する事無く、解散が決まった。
視点を変える事にした。新しい彼女を探そう。
そうすれば、明日香の事で思い悩む事は無い。決断した。
いつまでも女々しく振舞う物では無いのだ。
遊び慣れたイケメン(イケてるメンズの略で顔が良いという意味ではないらしい。TVで言ってた)
の高橋君に合コンの予定はあるか尋ねる。
すると、ある、と答えた。
だがお前いいのか?
何を?
いや、彼女。高峰さん。高峰明日香さん。
すでにその様な立場ではない。心配せずとも良い。
そうかそうか、じゃ今度の金曜の放課後来いよ。レベル高いの連れてくから。
ありがとうありがとう。
いえいえ。
と、高橋君は言う。
あまり話した事が無かったが、意外と礼儀正しいイケメンであった。
で二人で?
二人? 高橋君の視線は俺の後ろに向いていた。
振り返る。安藤君だ。
必死そうな視線で見つめている。
俺も俺も、そう視線が訴えていた。
ごめんよ安藤君。その通りだ。
抱き合って友情を確かめる。
少し気味悪そうにしながら高橋君は、じゃ金曜に、と手を振り去っていった。
二人並んで手を振り返す。
ようし、俺達の青春は今始まったばかりだ!

 

 

 
あの日から達彦は目を合わそうとしない。
当たり前だ、合わせる顔が無い。
天城達彦は私、高峰明日香の彼氏だ。
いや、今の状態ではだったと言わざるを得ない。
そもそも、戸川君とは半年前から関係があった。
その日達彦といつもの様にくだらない事で喧嘩になった。
怒りは収まらず、友達を呼び出し、商店街へ遊びに出る事にした。
その時、偶然戸川君達と会った。
丁度同じ目的で来ていたらしい。
せっかくだから、と皆でカラオケに行く事にした。
先日出たばかりのアイドルの新曲を披露した。
すげー、うまーい、かわいー。褒められていい気分になる。
達彦と行った時はどちらもマイクを離さず、一心不乱に歌っていた。
俺が俺が私が私が、と互いに譲らず。
どちらも我が強いので、不快になる事請け合いであった。
戸川君達は遊び慣れている為か、その様な事も無く楽しい時間を過ごせた。
そのまま、ボウリング、ビリヤード、ダーツ、ショッピングと繰り出す。
最後にクラブへ行った時は、他の皆は帰っていて戸川君と二人きりになっていた。
どう、楽しかった?
うん、こんな面白いのはじめて。
戸川君は満足そうに笑う。と、真面目な顔になり
高峰って結構可愛いよな、俺マジになりそう。
明け透けにそう言われ赤面した。
冗談言って。それに私彼氏いるんだけど
冗談じゃねえって! ていうか何であんなのと付き合ってんの?
いつも喧嘩してるし仲悪そうに見えるんだけど。
不思議そうに言われた。
そう見えるんだ……。正直気にはしていた。
本当に私は達彦の事が好きなのだろうかと。
そして、達彦も私の事が好きなのだろうかと。
おし黙る私を見て
つうかさーもっと楽しんだ方がいいって。人生短いんだし。
けらけら笑いながら言った。
なー明日香さー。
いつの間にか呼び捨てにされていたが、気にならなかった。
人徳の問題だろう。
経験ある?
経験? 何の?
せっくす。

突然の事に、つい飲んでいたアイスコーヒーを吹き出す。
ごめんごめん、びっくりした?したっけ?
いきなり何を……。
だからせっくす。
……帰る。
鞄を手に取り、立ち上がる。
慌てて戸川君は手を引く。
ちょ、ちょっと待ってよ。怒ったんなら謝るけど。
普通怒るでしょ、常識ないんだから。
すると、呆けた様な顔で言う。
……常識? え、俺女の子とよくそういう話するけど。
もしかして彼氏ともしてないの? あ、これ両方の意味で。
憮然として頷く。
そっかー、何かあんまり遊び慣れてないと思った。
それが何の関係があるの?
と、いきなり真剣な表情である。
そりゃそうだよ、今日日皆している事だぜ。
よく言うよ。
溜息をついた。呆れている様に見える。
嘘じゃねえって。さすがに経験無いと馬鹿にされっからね。
せっくすも遊びの延長線上さ。経験すると余裕が出るちゅうかね。
上の視点で物が見れるちゅうか。
て俺馬鹿だから、うまくまとまんねえやははは。
戸川君は申し訳なさそうに言う。
何となく言いたい事は理解できた。
大人の余裕、とはよく言われる言葉だ。
そんでさー
何?
戸川君が目の前まで顔を近づけてきた。
俺と経験しない?

ここ狭いから気い付けてねー
古いアパートの一室。
私は誘われるまま戸川君の家へ来ていた。
経験することによって、余裕を持つ事が出来れば、関係も変わるのではないか。
あまりに馬鹿げた思考だったが当時の私は遊び疲れていた事も関係して、思考能力が落ちていた。
戸川君も最初は軽い気持ちで言ったのだろう、少し驚いている様に見えた。
とにかく、どうであれ、私は自分の意思でこの部屋に来ていた。
お茶入れるから、ここ座って。
そう言ってクッションを置いた。
ちょっとした気遣いを嬉しく思う。
達彦もこの程度気を使ってくれば……。
すぐに思考は中断された。
戸川君がコップに入れた紅茶を差し出す。
市販のヤツ暖めただけだから、味の保障はできねーはは。
ゆっくりと口を付ける。
どこにでもある様な普通の味だ、しかしそれが妙に安心させた。
それ飲んだら始めようか。
一瞬何を言ったのか分からなかった。
だがすぐにこの家に来た目的を思い出す。
心音が早くなり、緊張が高まっていくのが分かる。
ゆっくりとだがしっかりと頷いた。

コップの中の紅茶はすぐに無くなった。
戸川君は私の背中の方に回る。
そして、緊張をほぐす様に肩を揉み始めた。
私肩凝ってないんだけど……。
気休め気休めー。体が強張ってるよ、もっと楽しもうよー。
言われて赤面する。その台詞が功を奏したのか、体からゆっくりと力が抜けていく。
と、服の中に手を入れてきた。
そして、そのまま胸を半円を描く様、緩やかに揉んだ。
私はあまりに恥ずかしくて下を向いていた。
慣れた様にブラジャーのホックが外される。
服からブラジャーが滑り落ちる。
次は服が胸の上までずらされた。
先程に比べ、より大胆に胸を円状に揉んでいく。
偶に思い出したかの様に先の突起を指で摘む。
捉え様の無い感覚に下唇を噛む。
顔が近づいて来る。
キスをされるのかと思ったら、何と右の耳朶を甘噛みされた。
そして、ふうっと息を吹きかけられる。
心地よさに鳥肌が立つ。

胸を貪るのに飽きたのか、手は下半身の方に向かっていた。
素早くファスナーを下ろしていく。
半端に開かれたスカートの中を探る。
すぐにパンツを探り当てた。
滑らかに指が股の方へ向かった。
上から女性器を刺激されるのを感じる。
口から息が漏れる。
何度か擦り付けた後、手をすっと取り出した。
指の先が少し濡れていた。
もう片方の手でスカートがゆっくりと下ろされる。
パンツは刺激の名残で濡れていた。
戸口君は達成感を感じたのか満足した様に笑みを浮かべた。
両手で慎重にパンツをずらしていく。
さすがに恥ずかしいので、両手で顔を隠した。
隠す所がちがうんじゃないの、とからかう様に言われたので、拳を軽くぶつけた。
全裸になった私を横たえ、屈む様に戸口君は下半身に向かい顔を近づける。
息が吹きかけられ、軽く震える。
そしてすぐに舌が膣内に挿入された。
メビウスの輪状の様な動きに軽く酩酊した様な気分になる。
と、突然衝撃を受け、軽く悲鳴が出た。
陰核が舌で包まれた為だ。
断続的に続く快い感覚が堪らなく心地よい。
舌を抜くと、次は指を直に入れられる。
より直接的な刺激に喘ぎ声が出てしまう。
同時に乳首が舌で転がすように舐められる。
息が荒くなる、未知の感覚が生じ、高まっていくのを感じる。
と、戸口君が体から離れた。
それでは、本番いきまーす。

狙いを定め、陰茎が押し当てられる。
一呼吸した後、入り口がぐいぐいと押し広げられていく。
亀頭が徐々に進入すると後は早かった。
力任せに突くと、一瞬後に、陰茎は膣内に全て収まった。
息も出来ない程の下半身に来る圧力と、引き裂かれる様な痛みに悲鳴と涙が出る。
しかし、幸せそうな戸口君の顔を見て、歯を食いしばり我慢する事にする。
大丈夫?
う、うん。でもゆっくりでお願い。
緩やかな抽挿が断続的な痛みを与えてくる。
しかし同時に手で、胸や、陰核を刺激してくれるおかげで、少しずつ痛みが和らいでくる。
粘着質な音が聞こえてくる。
なあ、一応彼氏に遠慮してたんだけどさー
んっ、な、何?
相変わらず笑いながら戸口君は言う。
キスしていいー?
はあ、はあ、はあ、んんっ、それは、ちょっと……
さすがにそこまでは許すつもりは無い。
達彦に悪いと思いながら、しかしそれでは現在している行為はどうなのかと考える。
そもそもただ達彦に対する優位性を持ちたかっただけなのだ。
思考は緩やかに曖昧になりその役割を放棄し、体の反応がより直接的に行動を方針付けていく。
互いの性器の間から零れ落ちる大量の粘液が、床を汚す。
息はより荒く、声はより艶やかに、体はより激しく。
はあ、はあ、んっ、ああっ、はあ、まだ、なの?
はあはあ、ああ、明日香が初めてでもイけるまで、俺我慢するから、はあはあ。
それは気遣いなのか、男のプライドなのか、よくは分からない。
だが、嬉しく思えた事は確かだ。
永遠にも続く様な行為は、初めてにも関わらず訪れた絶頂で終止符が打たれた。
ああ……あぁあ……はぁああ……んぁああぁあああー……っ
戸川君も待ち構えたかのごとく、強く奥に一突きし固定したまま、大量の精液を膣内に射精した。
その熱さを感じながら、私は意識を失った。

金曜日の放課後。
ホームルームが終わると、さっさと帰宅して手早く着替えた。
家の前で待っていた安藤君が逸るので、共に待ち合わせ場所へと急いだ。
商店街の中央に位置する噴水前。
そこには、すでに高橋君達が待っていた。
横には長く整った黒髪の少女と、短髪を金色に染めた少年。
高価そうな服を違和感無く着こなしていて、かなりのお洒落さん達と見た。
二人とも本日参加するメンバーだろう。
こちらに気づいた様なので、慌てて会釈する。
高橋君は、それじゃ作戦立てながら話そうか、と歩き出す。
横に並ぶ。
合コンは役割分担が大事なんだ。
ふむふむ。
とりあえず俺と…彼女は今回ホスト役なんでフォローに回るから。
照れた様にちらりと後ろの女の子に目配せする。
女の子は小さく手を振り返した。
彼女同伴の合コンてどうなのよと思ったが口に出さない。高橋君は続ける。
んシゲオ君は今回ワイルド系ね、リアクション命で盛り上げて。
金髪の少年が笑みを浮かべ頷く。
聞くと、彼は一つ年上で現在美容師の専門学校に通っているらしい。
と、高橋君が足を止める。真面目そうな顔で
それで、天城さ、今回は同情ネタで行く事にする。
同情ネタ?
どういう意味だろうか、と考える。
ああ、気を悪くするかもしれないから先に謝っておく。
高峰さんとの一件を利用しよう。
俺等がうまく、そういう風に話を持っていくから。
女の子はそういう、可哀想な男の子に弱い。
母性本能に訴えかける、て方向で。
そんなものか、何とも言えずただ頷く。
俺は俺は?
安藤君やる気まんまんだ。
食いしん坊キャラだ。
食いしん坊キャラだな。
示し合わしたように、高橋君とシゲオ君はきっぱりと言った。
そ、それはあんまりだ。そ、そうだ。音楽ならポストロックからクラシックまで語れるぜ。
手を横に振る高橋君。
キャラクター付けは単純な方が上手く行くんだよ
あんまりマニアックな話になると結構引かれるんだよ。
どちらも不快になる事請け合いだ。
会話の内容は広く浅く。これ基本ね。
しょんぼりする安藤君。が、すぐに両拳を硬く握り締る。
ようし、やってやろうじゃないか。天城君も頑張ろうぜ!
ポジティブな安藤君に少し癒された。

そのクラブには今まで入った事が無かった。
安藤君や、明日香がこの様な場所を好んでいる筈も無い。
相手の女の子はすでに席に座っているとの事で、いそいそと向かう。
こんちわー、こんちは
互いに挨拶をする。
それじゃあ、自己紹介行ってみようか!
マリでーす、ヨシコです、ユウカ。
俺達も銘々名乗る。
詳しい紹介の前に何か食べよう、高橋君は提案する。
パフェーとかー、ペペロンチーノ食べたいな、まぐろ丼ーは胃に堪える
メニューに目を通す。何にしようか。
すみません。
さっそうと安藤君が手を上げて、店員を呼ぶ。
はい、ご注文は何にいたしましょう。
全部。
はい?
メニューにある物全部持ってきて。
困惑する店員さん。
皆さんで食べるんですよね?
いや、一人で。
……。
安藤君は、さあ皆も頼みなよ! と笑みを浮かべて促した。
さすが安藤君。早速実践している。
この実行力、見習わなければならぬ。
でも、どうやらやりすぎた様だ。女の子みんな引いてるよ。

テーブル一杯に運ばれたメニューを前にし雑談に花を咲かせた。

……
えー、そんな価格で買えるんですかー。
某有名ブランドと同じ素材で作っているんだけど、ロゴ表示が無いからその分安いんだよ。
そんでさそんでさ、俺は言ってやったんだよ。何で赤い洗面器を被っているんですか、って!
最近の政治情勢は云々。
胃が! 胃が!
そこはお化けトンネルと呼ばれていて……
……

どうにも会話に参加し辛い。
確かに魅力的な女の子が多かった。
しかし、どうしてもつい、明日香と比べてしまう。
彼女と比べると全てが見劣りする。
ずっと好きだった中学時代、告白して承諾を貰い幸せ一杯だった卒業後の春休み、
喧嘩ばかりしながらも心が通じ合っていると信じていた高校生活……。
様々な思い出が浮かんでは消えた。
と、会話が止んでいるのに気づく。
見ると、皆自分に注目していた。
……?
どうしたの、達彦くん泣いてるよ。
思い出に浸っている間、気づかない内に涙を流していたらしい。
赤面し、慌てて拭う。
と、高橋君が目配せする。
ああ、そういう手順だったっけ、すっかり忘れていた。
咳払いをして高橋君が話し始める。
ああ、天城さ。最近彼女に振られたんだ。それが酷い話でさ。
他の男と寝ていたんだって。しかも、知らない間に何回も。
もう三年近く付き合っているのに。
えーひどーい。
きちくおんなー。
思わず苦笑してしまう。
と、前にいる女の子-ユウカが泣いているのに気づいた。
……って何で泣いてるんだ!?
動揺して尋ねる。
ど…どうかした?
あ、ごめん、つい。
同情してくれているのだろうか。
正直あまり気分が良くないなと思っていたら、
私も同じ様な経験があるんだ……。
その場がしんと静まり返った。
店内の騒音が良く聞こえる。

ある日、彼氏の部屋に入ると別の女が裸になっていた。
ただそれだけの話。
聞く所によると、その彼氏は何人もの女と関係を持っていたらしい。
彼の事が好きだった彼女は酷く傷つき、悩み、そして別れを告げた。
そもそも相手は付き合っていたという気も無かったらしい。
大勢いるうちの一人、ただのセックスフレンド。
彼とはもう付き合いは無いらしい。
戸口の様な奴が他に存在する事を考えると、鬱になった。
二人で色々と話をした。
良い思い出、悪い思い出、慰め、慰められ、話題は尽きない。
二人は同士であったのだ。
と、ユウカが突然席を立つ。
ごめんね、ちょっとトイレ。
トイレにカーディガンや鞄が必要なのだろうかと疑問に思っていると、メールが入ってきた。

”二人で抜け出そう”

先程アドレスを交換したばかりのユウカであった。
少し、逡巡し、決断する。
横を向くと高橋君は頷き、シゲオ君は片目をつぶり、安藤君は親指を立てる。
皆本当いい奴らだ。

俺は女の子達に所要を思い出したので帰宅する旨を告げ、外へ出た。

慣れてきたみたいだから、そろそろ次の段階に進もうか。
ゲームでここクリアしたから、次のステージに行こうぜ、と言うような気安さで戸川君は言った。
私は戸川君ともすでに何度も行為を重ねていた。
そんな日は大抵、達彦とひどい喧嘩をしていた。
結局の所私は”大人の余裕”を持ち合わせる程寛容で無く、
ただ達彦が子供にしか見えないだけだった。
その苛立ちを紛らわせる様に、行為は加速していく。
特に戸川君に恋愛感情がある訳では無い。
心と体は別物、そんな昼ドラで有り触れたフレーズが思いつく。
そんなシチュエーションに酔っている? ははは。
自嘲気味に、そう思う。
確かにセックスは楽しいし気持ちの良い物だ。
それに慣れていく自分に、ある種の恍惚感と達成感を感じる。
結局一番子供なのは、私という事にこの時は気づかなかった。
戸川君は自分の性器を取り出して
いっちょ、舐めてくんない?

えー、それはちょっと厳しい
流石に口に入れる気は起こらない。
でも、いつも俺、やる前、明日香の舐めてるっしょ?
こういうのは互いの思いやりよ?
そう言われ、渋々と口を近づける。
ゆっくりと舌を亀頭に這わせた。
形容の付かない匂いと、塩辛い味が私の思考を停止させ、行為に没頭させる。
しばらくそうやって舐めていると
口の中に出し入れして。
あと、舌で全体を舐め回す様にしてくれると、嬉しい。
言われた通り、性器を口に含ませていく。
苦しい。
口一杯に広がった固まりを舌でゆっくりと回すように舐める。
おっおっおおぅう。
戸川君は嬉しそうに喘いでいる。
それを上目遣いで見ながら、続けた。
一匹の子猫が皿に入れられたミルクをぴちゃぴちゃと舐めている。
ふと、そんなシチュエーションが浮かぶ。
その内、戸川君は我慢できなくなったのだろう、頭を掴んで、腰を動かし始めた。
しばらく私は成すがままにされていた。
そうして、盛大に喉奥に粘液が発射された。
膨大な量の精液が勢いよく流れ込んでくる。
ふと見ると、腰を痙攣させながら、戸川君は嬌声を上げている。
幸い気管に入る事無く、全て飲み込む事が出来た。
全て出し終えると、戸川君は腰をゆっくりと離した。
そして、子供の様な笑みを浮かべると
すげー、すげー気持ちよかった。
私は眉をしかめながら、苦いと言うと、
彼は大声で笑った。

戸川君は好奇心と知識欲の塊だった。
様々な行為を提案しては、試していく。
その心地よさに私も溺れていく。
楽しかった、気持ち良かった。
それだけ。
戸川君が最初に言った通り、私はセックスを遊びの延長線上としてしか捕らえていなかった。
それが終焉を迎えたのはあの日。
そう、達彦が部屋で私達の行為を目撃した時だ。
今まで見た事が無い程達彦は怒り狂っていた。
戸川君の腹を思い切り踏みつけた後、私を払いのけ、胴体に馬乗りになった。
そして、顔を何度も殴りつけた。
私は放心しながら、格闘技でこんなもの見た事があるな。あ、そうかマウントポジションだ、と暢気に思っていた。
無論戸川君がガードポジション等訓練している筈も無く、見る見るうちに、顔が腫れあがっていく。
のろのろと起き上がった私は、服を着ながらそれを呆然と見ていた。
一段落したのか、達彦は息を荒くしながら、立ち上がった。
戸川君のくぐもった声が聞こえる。
そこで、私も同じ目に遭うのだろうと気づく。
この時思考は停止しており、馬鹿みたいに突っ立っていた。
達彦がゆっくりとこちらに近付く。
私は目を瞑ってそれを待った。
そして、とうとう呼吸音が私の目の前に聞こえてきた。
覚悟した。
だが、結局拳も蹴りも飛んでこなかった。
私はゆっくりと目を開ける。
達彦は横を通り過ぎていった。
畜生……。
彼は泣いていた。
そしてそのまま、外へ出て行った。

戸川君の手当てを終えると、私は身支度をした。
家に帰ろう……。
そうすると、戸川君が手を握ってきた。
帰らないでくれよ、痛いよ、心細いよ。
普段、陽気な戸川君が見て取れるほど、不安の意思を訴えかけてくる。
だが、正直私も気を遣う余裕はなく、そのまま足早に部屋を後にした。

三日後、戸川君が電話をして来た。
彼の強気はすでに回復していた。
一通り達彦への悪口を述べた後、
まあ、これで誰に気兼ねする事もねえじゃん?
俺と付き合ってよ。
だが、そもそも私は戸川君とは最初に彼が言った通り、遊びのつもりであった。
達彦からすれば、そんな道理が通るか、と言うだろうが。
私は戸川君の告白を断った。
彼は明らかに動揺を隠せない様子で、何度も私に問いかける。
その日から、戸川君の行動は積極的になっていた。
クラスメイトに付き合っている事を宣言したり、
達彦に見せ付ける様に肩を抱いたり、大声で罵倒したりしていた。
正直どうでもいいと私は投げ槍になっていた。
適当に反応を返し、受け取る。

そうやっている内に二週間が過ぎた。
金曜の放課後という事もあり、休日はどうやって過ごそうかと考えていると、
戸川君がやって来た。
今日俺ん家泊まらない?
ここずっと戸川君とはセックスをしていない。
今まで楽しい遊びであったそれは、今や私にとってトラウマになりつつあった。
恐らくセックスがあの日の記憶に直結してしまった為、それから離れる事で、私は何も考えずに日々が過ごせるのだろう。
ゆえに拒否。
怒りを隠せない戸川君。
何でだよ、俺達恋人だろ。
恋人じゃないでしょ、ただしただけじゃない。
冷たく返す。
教室には私達二人しかいなかった。
何でよ、俺はお前の事が好きなんだよ!
大声で怒鳴らないで欲しい、頭が痛い。
あんだけせっくすしたじゃん! 何で付き合えないんだよ、おかしいだろ!
詰め寄ってくる戸川君。
私は歪んだ笑みを浮かべているのを感じた。
だって戸川君。本気になった事無いでしょ?
どういう……。
最初に言った事だよ、戸川君が。セックスは遊びの延長線上だって。
それは……言葉の綾っちゅうか。
戸川君の口がどもり出した。
ごまかさなくて良いよ。私もそう認識しているし、だから戸川君とはうまくやって来れた。
…お前何言ってるんだよ。
戸川君さ、いっぱい女の子と遊んでいるじゃない。セックスフレンドって言うのかな? 私もその一人でしょ?
ち、違うよ! 俺はお前だけだって!
こないだ、戸川君の家から飛び出して来て、涙を流してる女の子がいたよ。他にも女の子が部屋にいたみたいだから、私は遠慮したけど。
……。
別に私は戸川君に恋愛感情なんか抱いてないから、何とも思わないけどね。正直迷惑かな、これ以上は。
……うう……。
さよなら。
戸川君は床に手を付いて何か呻いていた。
そんな彼を無視し、私は教室を後にした。

ユウカは入り口の前で立っていた。
じゃあ、行こうか。
肩を並べて歩く。
それで、これからどこ行くんだ?
うーん、ちょっと歩こうか、話し足りないし。
高揚してるのか、落ち着いているのか、今一自分でも判断が付かない。
ちらりと横目でユウカを見る。
目が合った。にこりと笑みを返される。
赤面した。
先に口を開いたのはユウカだった。
それで、さっきの話の続きだけど。
さっきってどんな話だっけ?
彼女の話。
もう彼女じゃないよ。
溜息がこぼれる。
口も聞いてないし。
それでも一度話した方がいいよ?
後悔する事になるよ。
自嘲気味に笑う。
人生は後悔の連続さ。
その言葉ちょっと使ってみたかっただけ?
その通り。
二人で笑い合う。
安らぎを覚える。
そう、彼女が出来たらこういう会話をするのが夢だった。
明日香は女王様気質な為、どうしてもこちらより優位に立とうとして、それに俺が反発して喧嘩になった。
互いに自分を押し付けすぎた。
それが悪かったのだろうな、と今は思う。
俺は子供だったのだ。

ユウカが俺の手を握る。
ねえ、教えてくれる?
ああ。
俺は明日香との喧嘩の日々を話した。
時に笑い、時に怒り、時に泣き。
でも、好きだったんだね。
ああ。
癒されていく、心から。
次は俺の番だった。
ユウカはどうだったんだ? その…糞ったれな男との思い出。
くすくすと笑いながら言う。
糞ったれね。別に何もないな、本当に。彼、セックスしか興味が無かったからね。
胸が痛む。
その男が前にいたら、確実にぶん殴っている事だろう。
顔に出ていたのか、優しいね、とユウカは笑う。
顔が赤くなるのを感じる。
そのね……会ったその日になんだけど。
何?
恥ずかしそうにユウカは俺に言う。
私と……付き合ってくれない?
鼓動が高まっていく。
息が詰まりそうだ。
ああ、これは、この懐かしい気持ちは何だろう。
俺は……。
と、聞き覚えのある声が俺の元に。
……達彦?
目の前に来たのは、明日香だった。

明日香の顔からは、感情を読み取る事が出来なかった。
ゆっくりとユウカを値踏みしていたのは俺の気のせいだろうか。
新しい彼女?
問いかけられたのが自分だと言うことになかなか気づかなかった。
うんともいいえとも判別がつかない様な声が俺の口からこぼれる。
彼女も何も今告白されたばかりなのだ。
レイカは俺達の微妙な雰囲気を見てどことなく言う。
この人は…?
…さっき話した例の彼女だ。明日香って言うんだ。
あ、はじめまして。レイカと言います。
挨拶されても、返事を返さない。
いや、そうでは無かった。
じっとレイカを見つめている。
どこかで見た顔だと思ったらあの時の…。
明日香は彼女を知っているのか?
その理由はすぐに分かった。
正直分かりたくはなかったのだが。
明日香どこだよ!
後ろから戸川が走ってきたのだ。
目が異様に血走っている。
そのまま明日香に急いで駆け寄ってくる。
それを、煩わしそうに振り払った。
二人に何かあったのだろうか。
胸がちくちくと痛んだが、正直もう関係が無い。
レイカを連れて去ろうとしたその時、彼女が言葉を発した。
ケンジ君…何故ここに。

どういう事か問い掛けようとした時に、戸川がこちらに気づいた。
天城、何でてめえがここにいるんだよっ!!
こっちの台詞だと思った。それよりもレイカの発言が気になった。
レイカ…。
顔を俯いているレイカ。何の感情も見せず立ち尽くしている明日香、こちらをずっと睨み続けている戸川。
何なんだこれは。
動揺する俺の表情を見て取ったのか、戸川がいつもの余裕を取り戻したかの様に、にやにやと笑い始める。
あー、レイカじゃねえか。ひっさしぶりー。
……。
レイカは唇を噛み締めたまま黙ったままだった。
戸川は次に俺に向けて嘲る様に言う。
何、お前今レイカと付き合ってんの? 変わり身はえーな。ははは。
苛つく、笑いだ。
レイカ可愛ーだろ? な、もうやったの? まあ、明日香とも一度もしてない童貞のお前がする訳ねーかははは。
何が、可笑しいんだ、こいつは?
聞いてないかなー、こいつさー、俺のヤリ友。何回かしただけでさー、彼女面してんのよ。ありえねーよなははは。
怒りが、満ちて、くる。
お前さー、明日香と俺がやった時、殴りかかって来たよな?
じゃ、今回俺が殴る権利あるって訳だよな?
滅茶苦茶な論理を言い放ってきた。
俺は黙ったまま、戸川の戯言を聞いていた。
戸川が殴りかかってくる。
俺は抵抗せず、それを受けた。
微動すらしない俺を、さすがに訝しんだのか、戸川が気味悪そうに言う。
な、何だよ。
俺は黙ったまま目を上げる。
そして、そのまま、戸川に頭突きをかました。

頭を抑える戸川を淡々と、殴り、蹴り、投げ、捻り上げ、痛め続ける。
レイカが止めに入るまで、俺は戸川に攻撃を続けていた。
倒れこむ戸川の股間に思い切り蹴りを入れる。
異様な悲鳴が聞こえた。
残念ながら潰れはしなかった様だが、その衝撃で失禁してしまったらしい。
黄色い液体が道のタイルを汚していく。
レイカは震えながら見ていた。
もう一人、明日香は冷たい目でそれを見ている。
俺は興奮を抑える事無く、荒い息を吐き続けていた。
明日香と目が合う。
ゆっくりと、彼女は言った。
私を殴らないの?
怒りが急激に冷めていく。
何故? 俺とお前はもう関係が無いだろ?
やけくその様に言い放った。
そうじゃない、前回私を無視して、去ったでしょ?
正直困惑した。
普通、女の子は殴れないだろ?
フェミニストのつもり?
ようやく俺は理解した。
彼女の捻り曲がってしまったプライドを。
中学時代から続いた彼女との交流、恋愛と呼ぶにはあまりにも未熟で、喧嘩ばかりしていた。
何も見出せないまま時間だけが過ぎ、互いの絶対性を譲らず、どうしようも無い所まで積み上げられてしまった。
物語には終わりが必要なのだ。
彼女が望んだのは分かりやすい意味での罰。
俺はゆっくりと明日香の前に来た。
明日香は目を閉じる。
ぴしゃりと軽く頬を叩いた。
さよなら、明日香。
そうして、明日香は大声で泣いた。

明日香と別れ、黙ったままレイカと共に道を歩く。
怒りに任せたまま戸川を殴り続けた。
今更になって、怯えさせてしまっただろうか、と不安になる。
無論、戸川に対しては一切の罪悪感は無い。
沈黙が重い。
溜息を付く。と、見かけた顔が二人並んでいた。
安藤君と高橋君だ。
泣いている高橋君を安藤君が慰めている様に見える。
……ちょっと待て、何これ。
安藤君がこちらに気づき、手招きする。
思わずレイカと顔を見合わせる。
とりあえず行ってみるか。
泣きじゃくる高橋君に聞くのも気が引けたので、安藤君に尋ねる。
何があったんだ?
実は……高橋君の彼女と、シゲオ君が実は出来てたんだ。
なっ。
泣き声が一際大きくなる、高橋君。
どうも人事とは思えない。
詳しい話を。
あの後、結局女の子は皆帰っちゃったんだよ。そうして、反省会してる最中に…
シゲオ君と彼女さんがさ、何か…その…高橋君の前に土下座してさ。言うんだよ。

”高橋君、ごめん。実は…俺達、好きになってったんだ”

何か、高橋君に紹介された時に、シゲオ君が一目ぼれしてさ。その告白して、彼女も…って。
でも二人とも友達だから中々言い出せずに…それで今回の天城君の件があっただろ?
それでさ、隠し事は良くないって、それで…。
あまりに悲惨だ。
しかも何か間接的に俺が関係しているみたいだし。
慌てて高橋君を慰める。
そのっ、大丈夫だって! 高橋君はイケメンだから! すぐに彼女が出来るからっ!
そ、そうそう!
そんな俺達の励ましも頭を振る高橋君。
…いいんだ、いいんだよ、どうだって!
駄目だ、自棄になっている。
どうしようか、とレイカに目配せする。
だが、ぷいと彼女は顔を横に向いた。
何だろう、やっぱりさっきの件だろうか?
高橋君は安藤君に任せて、レイカの方に向かう。
とりあえず謝る事にした。
ごめん、さっきの事だよね。怖がらせてしまったみたいで。
そうするとレイカは不思議そうな顔で見てきた。
怖がる……? あ、ああ、いや確かにあれはちょっときつかったけど。
……?
その事じゃなくてね……あの、返事の方まだ聞かせて貰ってなかったから。
自分の馬鹿さ加減には愛想が尽きた。
その後の印象が強すぎて、ついその事を失念していた。
ごめん、その話だけど…。
あ、あんまり真剣に受け取らなくてもいいよ、あはは。
彼女を失望させてしまっただろうか。
とりあえず、もっとお互いの事を知ることから始めようか。
その、まだ今日知り合ったばかりだし。
……そ、そうだよね。
彼女の顔は残念そうに見えた。
拳を硬く握り締める。
言え、言ってしまえ。
それでさ、明日、明後日は休日だろ? 予定入ってるかな?
? ……無いけど。
吹っ切れろ、とばかりに強く瞼を閉じ、叫ぶように言った。
その、ベタで悪いんだけど、映画でも見に行かないか?
レイカは驚いた様に目を見開く。
そして、ゆっくりと微笑んで言う。
うん、いいよ。

心が喜びで満ち溢れてくる。
そして、俺は大きく喝采を上げた。
後ろでも叫び声が聞こえる。
もう俺は安藤君しかいない俺と付き合ってくれ安藤君、ちょやめて勘弁して
自分が上げた大声にかき消され、まともに聞こえないが、どうやら高橋君も立ち直ったようで良かった。

俺はもう間違えないよ、明日香。
相手を理解する事、それが大事だ。

空に俺の喜びの声と、安藤君の叫び声がいつまでも響いていた。

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